胃ろうについて

高齢者介護の話題になることのひとつに必ず「胃ろう」の話が出てきます。

自分はもともと、延命のための胃ろうに対しては否定的な考えでした。

しかし胃ろうの患者さんをみてきて、最近は考えが変わってきています。

 

Aさんは、もともと長期間経鼻栄養(鼻から胃まで管を入れる方法)で過ごされていた方です。
鼻から管を入れておくことは本人にとってすごく苦痛です。
その状態で相談に来られたのですが、このままでは嚥下状態がよくなったとしても口から食べることもできません。
というか、経鼻栄養をしている段階で、主治医の先生はもう口から食べることはほぼ諦めていたのでしょう。
レビー小体型認知症の疑いの患者さんでしたから、適切な投薬やグルタチオン点滴である程度の改善は見込めるのではないかと思いました。
少なくとも可能性はゼロではないと。

そこで胃ろうを勧めさせていただきました。

胃ろうを行い、薬や栄養のバランスをとり、定期的に点滴も行い、この方は劇的に意識状態が改善しました。
寝たきりの状態なのですが、もともとスムーズなコミュニケーションも難しい方でした。
話しかけても理解できないのか、話せないのか、返答がほとんどありません。
しかし今では、会話も可能ですし、しかもレスポンスがすごく早いです。
まだ嚥下は挑戦していませんが、これだけ意識がはっきりしていれば、口から食事を取ることも期待できそうです。

胃ろうを行うことにより、しっかりと内服薬や栄養の投与を行うことができ、状態が改善する可能性があります。

 

Bさんもレビー小体型認知症の患者さんですが、頻繁に発熱を繰り返していました。
小さな誤嚥性肺炎を繰り返していたのかもしれません。
その方が入院中に胃ろうを勧められ、胃ろうを作って自宅に帰ってきました。

それからは今までのことが嘘のように、発熱もまったくなく落ち着いて過ごされています。
栄養状態も、免疫力もどんどん改善傾向にあります。
パーキンソン症状はかなり進行してしまっていて、言葉を発することもほとんどできません。
しかし、問いかけに笑顔を見せてくれることがあります。
診察して帰るときも、硬い腕をがんばって動かして、バイバイと手を振ってくれようとします。

介護している家族の方も大変だとは思いますが、このような笑顔がみられるだけでも疲れが吹っ飛びそうです。

 

胃ろうを入れたらずっと入れっぱなしということではありません。
体調が回復すれば、すぐに胃ろうを抜くこともできるのです。
しかも胃ろうのメリットは、胃ろうを入れながらも口からも食べられることです。
口から十分食べられることが確認できたら、胃ろうを抜けばよいのです。

自分は胃ろうを積極的に勧めているわけではありません。
しかし、回復する可能性が少しでもあるのであれば、積極的に勧めたいと思っています。
一時的なものとしてです。

胃ろうは不自然だから、とか短絡的に考えることは浅はかであると再確認しました。

胃ろうは治療の手段として十分有用な方法です。
しかし、認知症だからとか、80歳以上の高齢だからとの理由で、胃ろう造設を断ってくる病院もあります。
その病院は地域医療支援病院とか認知症診断センターを開設したとかアピールしていますが…。
半分愚痴です。