減薬により認知機能が劇的に向上した例

今回は久しぶりに本業(?)の認知機能の話を書きたいと思います。

症例は70代男性ですが、当クリニック初診の約3年前に脳梗塞を発症しました。
その後仕事に復帰しましたが、強い不安感、めまい、動悸などを認め、メンタルクリニックに受診されました。

当クリニック初診時は、
体力・気力の減少、すべてのものに無関心、食欲低下、一日の大半を寝たり横になっている、手の震え、転倒を繰り返すなどの症状がありました。

当時内服していた薬は精神科薬だけで、

・コントミン(12.5mg):抗精神病薬 1日3錠
・アナフラニール(10mg):抗うつ薬 1日6錠
・ワイパックス(0.5mg):抗不安薬 1日6錠
・マイスリー(5mg):睡眠薬 1日2錠

でした。
久しぶりにこんな薬漬けを見ました。
こりゃふらついてしまうのも当然、無関心になるのも当然です。

これが精神医療の実態です…。
というわけでもなくて、実際はもっとまともな精神医療を提供しているところもありますから、「いまだにこんなことやっているとこあるんだ…」と自分でも衝撃的でした。

そして精神薬以外に内科系の薬を7種類、計11錠飲んでいました。
泌尿器科でも2種類・計2錠です。

つまり合計すると、内服していた薬は13種類で、1日30錠ものお薬を飲んでいたことになります。

薬の副作用は1錠だけの内服については臨床試験で調べられています。
2錠くらいまでならなんとか相互作用を調べられます。
しかし3錠以上になると体の中でどんな反応をするか誰もわかりません
それが13種類も飲んだら一体どんなことが起こるのか、本当に恐ろしいです。

ちなみにこの方、2回目の診察の時に長谷川式という認知機能の検査をしました。
すると30点満点中14点でした。

ぼーっとした感じでもあり、イライラした感じでもありました。

泌尿器科は専門医受診を継続してもらい、精神科薬、内科系の薬を当クリニックで整理していきました。

内服していた抗うつ薬は「三環系抗うつ薬」といって依存性も出やすく減薬が難しいといわれています。
しかし徐々に薬を整理していき、現在の内服薬は、

精神科系は…
マイスリー(5mg)1錠のみです。

内科系は…
少量の降圧薬と、脳梗塞予防のための血をさらさらにする薬の2錠のみです。

実は他にもビタミン剤とか処方しているのですが、ビタミン剤ですから特にカウントしなくてもいいかと思います。

そして、初診時から1年経過したあとの長谷川式は30点満点中27点に改善しました。
ただこれは多分本来なら29点でもおかしくなかったものです。
自分の質問の仕方がまずくて2点減点になってしまった感じでした。

というのも、「桜、猫、電車」という言葉を覚えてもらって、少し時間がたってから覚えているか確認する質問があるのですが、北海道の人は「電車」という言葉には余りなじみがないんですよね。
「汽車」という方がなじみがあるんですね。
だから本来は「桜、猫、汽車」と質問するべきだったところ、質問用紙にあったまま質問してしまいました。
この方は「桜、猫」はヒントなしで出てきたので、「汽車」にしとけば答えられた可能性はありました。

これだけ頭がしっかりしてくれば、当然見た目もすごく元気になりました。
食欲もかなり出てきました。
本当に生まれ変わったように元気になり、奥様が体調崩したときは率先してしっかりと家事をこなしていたそうです。
初診の時とはうってかわって、まぶしいくらいです。

精神科薬が、4種類17錠 → 1種類1錠
内科薬が、 7種類11錠 → 2種類2錠

に減らすことができたわけですが、我ながら自分でもびっくりするくらいの減薬です。
それだけこの方の本来の体はしっかりしているものであり、いかに無駄な薬を処方されていたかということですね。
本当にあのまま飲み続けていたら今どうなっていたのかと考えると恐ろしくなります。

薬というものは本当に怖いものです。

本当にその薬が必要なのかどうか、医者の言うことは間違いないはずだと思って、何も考えないで飲むのだけはやめた方が良いです。

結局ほとんどの「薬」は、ただ症状を消しているだけであって、根本的には治していません。
血圧が高い→降圧薬を飲む→血圧が下がる
これはただ薬でごまかしているだけであって、「高血圧が治った」ということにはなりません
これを「対症療法」といいます。

これじゃいつまでたってもゴールが見えず、死ぬまで薬を飲むということになります。
これが「血圧の薬は一生飲み続ける」といわれるゆえんですね。
一生病院のお客様です。

薬を飲む前に、食事・栄養や生活習慣を見直したりして、「なぜ血圧が高くなるのか」を考えなければなりません。

実は、食事・栄養、生活習慣を見直さなくても、無駄に血圧の薬を飲んでいる人も多いのですがね…。

たった1錠の血圧の薬でも、それによってその人の体に必要な血圧以下にまで下げてしまうと、

脳血流の低下→認知機能低下、めまい、活気の低下、うつ傾向、脳梗塞リスク上昇
腎血流の低下→腎機能低下
もちろん他の内臓も本来の力を発揮できない

などの弊害が起きる可能性があります。

実際、血圧の薬を減らして腎機能が改善する例はいっぱい見てきました。
これは腎血流改善の影響もあると思いますし、薬によって腎臓に負担がかからなくなった影響もあるかと思います。
大抵薬を減らすと腎臓の流れは良くなります。

まぁ1錠少量の降圧薬くらいであれば、人間の体はすごいですから、ちゃんとそれに適応して体内でひそかに修正できるでしょう。
過度に強引に下げると上記のことが起きるリスクが高まります。

無駄に精神薬を飲んでいる人、無駄に内科系の薬を飲んでいる人は本当に多いです。
そうなると、その人本来の人生ではなくなってしまいます。

一部の精神医療は本当に恐ろしいです。
ちょっと不安を訴えただけであんなにも薬漬けにされてしまうのですから…。

処方された薬、本当に必要なのか一度疑ってみてください。