世間ではオミクロン株で持ちきりですね。
重症化率は圧倒的に低いし、死亡者もイギリスで報告された素性がまったく不明な1名のみ。
しかもウイルス増殖は気管支内で70倍近くだけど、肺の中では従来株の10分の1程度のため、肺炎などの重症にはなりにくいとのこと。
70倍とか一見ビックリするような数字を出してビビらせようとしているんだろうけども、結局は上気道炎・下気道炎レベル。
ただの風邪。
追加接種を前倒しするとかなんだとか、またメディアではお祭り状態。
コメンテーターに呼ばれる専門家も嬉しくてしょうがないでしょうね。
まぁ、このブログを読まれている方々はオミクロン株騒動のおかしさにとっくに気づいていると思います。
そしてもうさすがに辟易しているんじゃないでしょうか。
「またかよ」って。
ということで、今回は気分転換ネタを。
いろんな人の人生話を聞くと、人生にはお役目ってあるんだなぁって実感することがあります。
まず1回目に登場していただくのは、当クリニックの看護師さんです。
(1回目にって…2回目があるとは限りません)
うちの看護師さん、そのストーリーを聞くと看護師になるべくしてなったんだということがよくわかります。
看護学校を卒業後、看護師国家試験にはみごと落ちてしまいました。
というのも学生時代、看護師よりも不動産屋の営業かタクシードライバーになりたいと思っていたとのこと。
この辺、メチャクチャ変わってます。
で運良く?国家試験に落ちたものだから、念願の不動産会社に就職しました。
そこでバリバリ働かれたそうで。
そして2年が過ぎた日、看護学校の先生や看護学校時代の親友から強く説得されたそうです。
もう一回、頼むから国家試験を受けてくれと。
仕方なしに受けようかという気持ちになり、試験当日の朝です。
なんと二日酔い。
もう一度言いますが、国家試験当日の朝です。
二日酔いでだるく、やっぱり試験を受けるのはやめようと思ったそうなんですね。
しかし母親がお弁当を作って起こしてきたとのこと。
そのお弁当をみて試験に行く決心がついたそうです。
ちなみに、この2年間まるまる、まったく勉強はしていません。
参考書もすべて捨ててしまっていたとのこと。
参考書捨てちゃったから勉強もしようがなかったとのこと。
たしかに…。
いやいやせめて一冊でも新しく買って勉強するっしょ。
すごすぎます。
で、試験がはじまってみると、なんとスラスラ問題が解けてしまう。
国試浪人をバカにしてんのかと思うくらい、スラスラ解けてしまったそうです。
早々問題を解き終わり、机に突っ伏して寝ていたそうです。
二日酔いですから。
「早く終わらないかな~、だりぃな~」と思いながら。
(「だりぃなぁ~」は自分が付け加えました)
当時、浪人生の国家試験合格率は50%くらい。
結構難関です。
そして見事に合格。
この話、ホントに信じられませんでした。
国家試験ですよ?
2年間まったく勉強もせず、不動産屋でバリバリ仕事していて、しかも試験当日は二日酔い。
本人曰く、試験当日「神が降臨した」そうです。
周りの受験生は休憩時間にはみんな必死こいて参考書復習していたりしていたのに、本人は寝ていた。
だって参考書ないから。
二日酔いで体だるいから。
一般的な常識では理解ができない出来事です。
ちなみに学生時代によく当たる占い師のおばちゃんにみてもらったら、
「あなた看護師さんに向いてるし、絶対看護師になるよ」
って言われたそう。
でも現役で落ちて、
「なんだあのババァ、当たんねぇじゃん」
って思っていたそう。
だけど、結果的に当たっていました。
うちの看護師さんは看護師さんになるべくしてなったんだと思いました。
人生のお役目は看護師として働くことだったのでしょう。
実は訪問診療していて、判断に悩むことがあるんですね。
何か様子が変だけど、明らかな徴候はないから様子をみるか?とか。
本当はCTとか検査してもらいたいけど、家族の方が病院に連れて行くのも大変なんですね。
ですから「ほぼ確実に問題あり」じゃない限りは病院受診はなるべく安易に勧めたくない。
とりあえず受診して問題なければ問題ないで安心できるからいいのですが、やはり受診は一苦労なんです。
だから訪問診療をやっているんです。
受診しないですむなら受診しない方がいい。
だけど訪問診療では判断が難しいときがある。
自宅でCTなんて撮れないし。
そんなとき自分は看護師さんに聞きます。
「どう思う?」
って。
同じ医療職としての意見を求めます。
看護師さんの勘、結構当たるんです。
やっぱり患者さんをよくみているからなんでしょう。
診察するのは自分だけど、うしろで患者さんのことをしっかりみている。
患者さんのささいな変化に気づくんでしょうね。
実はこれで助けられたことが何回かあります。
自分が「症状からは大きな問題はなさそうだけど、頭に問題あるかなぁ、どうだろうなぁ」って悩んだときに、
看護師さんに「どう思う?」って聞いたんですね。
回答は「なんとなく嫌な感じするから、検査に行った方がいいと思う」でした。
で、決心して検査に行ってもらってみたら本当に脳梗塞がみつかったとか。
そのときは麻痺とか明らかな神経症状はなく、ただ少しの眠気だったような気がします。
言葉ではうまく説明できないけれど、「なんとなく」とか、そういう感覚って実はすごく大事なんですね。
恥を忍んで書きますが、本当に看護師さんの勘で助けられたことがあります。
よくわからない力で看護師試験に合格し、そして実際に患者さんを助けている。
だからやっぱりうちの看護師さんは看護師になるべくしてなったんだと思います。
本当人生っておもしろい。