久しぶりの訪問診療の現場についてのお話しです。
なるべくなら入院せず住んでいるところで治療なりができれば良いのですが、自宅や施設の環境あるいは当然病状によっては入院の方が適切な場合もあります。
(看取りとかそういう段階ではない話の場合です)
積極的な治療を望んでいないという意向があったとしても、入院して回復する見込みがあるのであれば入院を勧めます。
たいてい高齢の方が急に体調不良をおこし入院となると「救急搬送」になることが多いです。
緊急ですから当然ですね。
当然自分では動けなくなっていますし。
そこで問題になるのが「病院探し」。
地域の病院の病床が逼迫していたりするとなかなか決まらなかったりします。
1時間以上も救急車内で病院探しをするはめになることもあります。
病院探しは救急隊にとっては非常にストレスフルな仕事です。
ですから自分も、専門治療が必要であるとか超緊急性があるとかそのような場合ではない限り、できるだけ先に連携病院にあたって、事前に入院先(搬送先)を決めます。
搬送先が決まった状態で救急隊に引き継ぐと、救急隊にたいそう感謝されます。
面と向かってたいそう感謝されるわけではありませんが、対応がぜんぜん違います。格段に優しくなります。
「あぁそれだけ病院選びは大変なんだろうなぁ」というのがよくわかります。
「病院決まってないんです」なんて言った日には不満な気持ちがひしひしと伝わってきますから。
あからさまにそんな態度をとられたときには「それも仕事のうちの一つだろっ!」なんて言いたくなりますが、そこはぐっと我慢し、すまなそうにお願いします。形だけはね。
救急隊、大変ですね。ご苦労様です。
こちらとしては患者さんのためにも、スムーズに事が運ぶように事前に入院先を選定したい気持ちは山々なんです。
しかし脳外疾患、心臓疾患などが疑われる場合は一刻も争いますから、その日の当番病院に当たってもらった方が早いです。
当番病院にはスタッフもそろっているわけですし。
そこで変に連携病院にこだわってしまうと、専門ではない医者が担当することになったり、スタッフがそろっていなかったりで専門的な治療が遅れてしまうこともあります。
あるいは連携病院から専門病院に搬送されるハメになったりなど、時間的ロスが大きく生じてしまいます。
いかにベストな病院に早く搬送してもらうか、患者さんにとっていかに良い治療が受けられる病院に搬送してもらうかを考えて、救急搬送の際の対応が異なります。
ですからあえて事前に病院を選定しないで救急車を呼んでもらうこともあります。
で、救急搬送となるととにかく「時間がかかる」のが常です。
患者さんから体調不良の電話がかかってきて、いろいろと対応し、救急車が患者さんを運んで出発するまで早くても1~2時間かかるのではないでしょうか。
心臓や脳疾患などが疑われ急を要する場合は、かかりつけの訪問診療医が一旦診察に行くとなると大きな時間的ロスになります。
ですから症状からそれらが疑われれば、すぐに救急搬送の指示を出すこともあります。
あるいはスタッフさんの判断ですぐに搬送し、事後報告で「救急搬送しました」と連絡が来ることもあります。
一旦診察に行って、それから救急搬送の判断をするとなると、上記の通り一通り終わるまで最低で1~2時間はかかるでしょう。
それ以上かかる場合もあるかもしれません。
それが今回これまでにないほどスムーズにいったケースがありました。
いろいろと偶然も重なったり、いろいろな方の協力があってのことですが。
連絡があってから30分以内、患者さんの所についてから20分以内にすべてが完了したのです。
夕方施設より連絡があり、担当患者さんが体調不良との連絡を受けました。
そのときたまたまその近くにいたのです。というかたまたまその施設方面に向かってすでに走っていたのです。
すぐに患者さんの元に行くことができました。
自分で動くこともできず意識も朦朧としています。
すぐに入院が必要と判断し、連携病院にあたりました。
同時にスタッフには救急車を呼んでもらいました。
連携病院は当直帯へ移行する時間帯で、「確認します」とのことでしたが、数分後すぐに折り返しがあり、連携室の人が日勤の医者を待たせておくから、とのことでスムーズに受け入れ先が決まりました。
(ここには連携室の担当の方と看護師さんの信頼関係によるところも大きいです)
で、受け入れ先が決まったと同時に救急車も到着。
少し前に家族に電話していたのですが、すでに施設に向かっていてくれて、家族も救急隊と同時に到着。
隙間の時間で自分はノートパソコンで診療情報提供書を作成します。
完成したらクリニック事務に連絡し、情報提供書とこれまでの血液データなどを先方の病院にFAXしてもらいました。
救急隊がくる間は(すぐに到着したのでほんの少しの時間しかありませんでしたが…)、スタッフはフェースシートは保険証関係をコピーして用意してくれていたり、看護師さんと一緒に部屋にある内服薬等を探してもらいました。
気づいたときには救急隊は患者さんをストレッチャーに乗せ、救急車へ運んでいました。
流れるようにことが進み、あっという間の出来事でした。
これ以上ないほどのスムーズさです。
誰が指示したというわけでもなく、それぞれが今自分にできることを判断し自分の判断で動き、それがぴったりと気持ちよく一致した、という感じです。
連携病院の協力あってのことですし、施設のスタッフさんもたくさんいるわけでもないのに患者さんのサポートをしながら入院に必要な準備をおこなっていただき、ご家族も真っ先に駆けつけてくれ、救急車も早く到着し、「連絡あってから診察し救急車が出発するまでレース」があったらかなり上位に食い込みそうな感じでした。
ちなみに救急隊の方、とっても感じよかったです。
「訪問診療における救急対応」とのことで、経験したことがない人にはよくわからない話しだったかもしれませんが、本当に記録的なスムーズさでびっくりしてしまったので思わずブログに書いてしまいました。
実は、「連絡を受けたとき施設の近くをたまたま走っていた」と書きましたが、そこは通常その時間帯はいつも走っていない所だったのです。
野暮用でたまたま連絡をもらった施設方面に車を走らせていたのです。
偶然と言えば偶然なのでしょうけど、なんだか患者さんに呼ばれていたのかなとか、何かエネルギー的なことも感じてしまいます。
以前にも似たようなことがあったのですよね。
クリニックからかなり離れていたお宅だったのですが、たまたま連絡があったとき、そのお宅の近くに他の方の診療に伺っていたところだったのです。
ですからすぐに駆けつけることができ、しかもその方も救急搬送となったのですが、搬送して本当に良かったケースでした。
対応が遅かったら命取りになるケースでした。
「患者さんが何か見えない力にに守られているんだな」と強く感じました。
何気ない訪問診療の日常の中でも不思議なことがあるものです。
患者さんが体調不良になったとき、医師や看護師、施設スタッフやご家族の動きが注目されがちですけど、実は「患者さんによって動かされていた」なんてこともあるのではないかなと思うときがあります。
患者さん自身が何か念じて自分たちを動かしているとかそういう話ではなく(体調不良なのですからそれどころではないと思います)、何か見えない力によってその人が守られており、すべてがベストのタイミングでスムーズにことが進むようにお膳立てされている、みたいな感じです。
自分は自分の意志で動いているように見えるけど、見えない力によって自分たちは動かされていることもあるのではないかと思います。
というか、あると思います(エロ詩吟の天津・木村じゃありません)。
たまたまいつもと違うルートを走っていたとか、施設から連絡が来るタイミングとか、すでにそうなっているようにシナリオが決まっているかのようです。
時空を超えてエネルギーが作用しているような感覚です。
変なことを言っているように感じるかもしれませんが…あまりにもうまくできすぎているなと思うのです。
連絡を受けて施設に診察に行くという判断であるとか、病院をどこに問い合わせするかとか、そのような判断も自分がしているように思えて、実際は何かにコントロールさえされているのではないかとさえ感じてしまいます。
先日もブログに書きましたが、たまたま前日に読んだ本の内容が、翌日診察した患者さんのお役に立てたりとか、その患者さんは1年前から予約されていた方です。
読んだ本もその患者さんとはまったく関係のない本なのです。
たまたまそのタイミングで自分が読んだのも不思議な話です。
しかもずっと前にすでに読んだ本で、なんとなくまた読んでおこうと思ったのですね。
2度読むことなんてまずもってないのに。
たまたまにしては不思議なことが重なりすぎです。
ですから、その患者さんが来る日にあわせて自分が何か見えない力に動かされてその本を読んだようにも感じてしまうのです。
またその鈴虫?コオロギ?のブログを書きましたけど、同じ時期に同じような経験をし同じようなことを感じていらっしゃった方もおり、これまた不思議なご縁を感じてしまいます。
しかもマンションの上層階なのにベランダでコオロギが鳴いていたというよりミラクルな経験をされています。
それでもたまたまだろうと思う方はそう思っていたらいいです。
たまたまじゃないかもしれないと思った方が、人生楽しくなりますし、いろいろ深く考えることができます。
なんでもかんでも精神世界に引きずり込もうということではありません。
が、物質世界だけで生きていては限界があるし説明がつかないことも多くあることをいい加減認めた方が良いかと思います。
