「OTC類似薬」とはときどきニュースに登場しますが、処方薬と同じ成分・効能のある薬のことで、ドラッグストアなどでも買えちゃうというものです。
ドラッグストアに行くと、アレグラだとかムコダインだとかメジコンだとか、「えっ!あれも?これも?」と、聞いたことのある処方薬の名前の薬が並んでおり、しかもどんどん増えている印象があります。
ガスターだとかブスコパンまであります。
「ブスコパン」って腹痛の時に使用されるものですが、特に腸の運動が亢進しているときに使用します。
つまり腸の運動を止める作用があるのですね。
ですから、腹痛だからといって麻痺性イレウス(麻痺性腸閉塞)に使用するのは禁忌です。
医師が麻痺性イレウスにブスコパン処方したり注射して問題が起きたら訴えられます。そして負けるでしょう。
その他にも緑内障の一部やら前立腺肥大症で排尿障害のある人にも禁忌です。
その辺きっと市販薬のブスコパンにもちゃんと注意書きしているのでしょうが、一般の人がどこまで読むのでしょうか。
痛くて痛くてつらいときに読む余裕はないでしょうし、とにもかくにも飲んでしまう人もいるかもしれません。
市販で売っているんだから心配ないだろうと、安易な気持ちで飲んでしまう人も多いのではないでしょうか。
ブスコパンはさすがにやりすぎだろ、と正直思います。
たぶんこの流れが最初にできたのは、保湿クリームの「ヒルドイド」だったような気もします。
美容目的で処方してもらって使用する人が激増し、一時問題になりました。
それからヒルドイドと同じような成分・薬効の市販薬がドラッグストアに並ぶようになりました。
今現在はそのOTC類似薬は自分でドラッグストアでも買えるし、医療機関にかかって処方してもらうこともできるという、なんとも中途半端な感じになっています。
診察まで何時間も待たされ、会計でも待たされ、なんなら医療機関にかかって風邪などお土産をもらってくる可能性を考えれば、OTC類似薬で対処しようと考える人もいるかもしれません。
それに医療費が無料の人を除けば、医療機関で支払うお金(よくわからない管理料も算定される)、薬局で支払うお金(こちらもよくわからない管理料を算定される)のことを考えれば、ドラッグストアで買ってきた方が割安かもしれません(計算したことないのでわかりませんが…)。
ドラッグストアならポイント付いたりもしますし、ツルハドラッグなんて入り口にある機器にポイントカードをかざし、ルーレットで大吉が出れば10%割引になります(ただし1商品に限ります)。
ドラッグストアでも買える、処方薬でももらえる、という中途半端な状態が続いていましたが、国は徐々に自分で対処する方に誘導しているのでしょう。あるいはこれまでは世間の反応をみていたのかもしれません。
いまその「OTC類似薬」の保険適応外にする動きが検討されています。
上記にある薬、病院にかかったことがある人なら聞いたことがあるのではないでしょうか。
超有名、超一般的に処方されている薬です。
これらすべてが保険適用外になるなんてことはないと思いますが…。
しかし仮にこれらが保険適用外となったら、病院にとっては大変な出来事です。
花粉症も風邪も自分で治せってことですし、そんな患者さんが病院に来なくなります。
現場の人間の負担が減るのはいいことですが、病院の経営者からしたら顔が真っ青になるでしょう。
経営のことを考えなくてもいい現場の医療従事者からしたら、「正直風邪くらいで病院に来るな」とか「家でおとなしく寝ていた方が治るのに」と思っているのが本音ではないでしょうか。
というか上記薬が保険適応外になったら「風邪ひいたんです」って病院に来られても何もできません。
漢方薬は処方できますが…。
ただ漢方薬も今やドラッグストアで買えるようになっていますから、いずれ保険から外す準備をしているようにも感じます。
うちにもよく「熱があるんです」なんて電話がかかってきます。
正直「そのくらいで…」と思わなくもないですが、解熱鎮痛薬など処方できないならドラッグストアで自分で対処してくれって話になります。
腰痛いと病院に行っても、痛み止めも湿布も出せません。整形なら電気流すとかするのでしょうか?効くのか効かないのか知らんけど。
正直安易に病院に行かないようになるということでは、自分はこの流れに賛成な部分もあります。
でもブスコパンのように、なんでもかんでも保険適応外という流れはどうかとも思います。
言わずもがなこれは「医療費削減」のための動きです。
そしてお金の流れを見れば、医療機関、薬局の収益が減り、その分製薬会社とドラッグストア(特にチェーン店)の収益が増えます(ドラッグストアで買ってくれるから)。
なんだか製薬会社とか大手ドラッグストアから多額の政治献金でもしてるんじゃないかと、いぶかしく思ってしまいます。
これが続けはそこら辺の医療機関や門前薬局は潰れ、高度な医療のみを提供する医療機関が残るということになるのでしょうか。
いや、しかし最近また高齢者の高血圧の基準が厳しくなったように、そこら辺で生き延びるところはあるかもしれませんけどね。
風邪とか花粉症患者がいなくなるのであれば、基準値を変えて他の病人を増やすという作戦ですね。
いろんなところで綱引きというか駆け引きが繰り広げられているようです。
また白内障手術だとかそういう専門性のある病院は残るのかもしれません。
ちなみに自分は訪問診療をメインとしてやっておりますが、よく「熱が出た」「風邪ひいた」とかで施設スタッフから連絡来ることがあります。
これまでそれに応じて処方し対応してきましたが、処方できないとなったらどうするのでしょう。
「ドラッグストアで買ってきてください」って指示するしかないのでしょうか。
なんだか訪問診療の意義もいくらか小さくなってきそうです。
もちろん訪問診療の意義はそこだけではないですけど。
自分で的確に判断できる人ばかりでしたら「OTC類似薬」の保険適応外でもいいのかもしれません。
しかしそういう人ばかりではないでしょう。
もはや自己責任で対処しろという感じです。
市販薬買って飲んで問題起きても自己責任。
医療機関の存在意義がなくなってきそうです。
そこら辺の開業医はますますワクチンを推奨したりして、そこで収益を上げようと考えそうです。
あるいは健診だとか。
正直自分は訪問診療がメインですから、外来が風邪の患者さんであふれるとか花粉症の患者さんであふれるとかありませんし、「OTC類似薬」の保険適応外になったところで大きな影響はないです。たぶん。
だから収益のためにワクチン接種にいそしむようになるなんてことはありませんからご安心を。
でも保険適応外の動きが少しでも出れば、一般の医療機関はかなり影響を受けるでしょうね。
特に開業医にとっては痛手です。
だから医師(特に開業医)は保険適応外の流れに強く反対しています。
風邪症状だとしても危険な疾患を見逃す可能性がある、なんていいながら。
で、驚いたのが「龍角散のCM」です。
みんなもきっとテレビで見たことのある、東京都医師会長の尾﨑氏がセルフメディケーションを強く推進しているのです。
(Youtubeでも観れます)

このポーズ、春日の「トゥース!」かって。
医師会といえばよく開業医の団体といわれますね。
実際には勤務医も多く所属していますが、しかしやはり開業医の声を代弁する団体というイメージが昔からあります。
セルフメデュケーションが進めば医療機関の収益は減るし、特に弱小開業医は死活問題です。
それなのに、東京都医師会長はCMに出てセルフメディケーションを推進しているのです。
こりゃ開業医に対する裏切り行為とも取れます。
尾﨑氏は少なくともゴホンといえば龍角散を勧めているわけです。
ゴホンとしたら、病院に行くのではなく龍角散を舐めておけということです。
確かにゴホンくらいで病院に行く必要はないですけどね。
それはそうなんですけど、やはりこのCMは東京都医師会長による開業医への裏切り行為にしか見えません。
よくセルフメデュケーション推進のCMに出れるなと感心してしまいます。
ただのミーハーなのだろうか。
お茶の間のテレビに出ること、CMに出ることが目的となっているようにしか思えません。
確かに医療費増大を議論しなければならないのは確かですけど、なんでCMにでてそれを訴えるのが日本医師会長者なくて東京医師会長なんだという話です。
あっ、こんなこと書いていますけど自分はセルフメデュケーションに反対しているわけではありません。
安易に病院にかかるなと常々言っているように、自分で対処できることは対処して欲しいと思っていますから。
しかしブスコパンはないわ。
便秘の人が飲んだら便秘ひどくなりますからご注意を。
こういう薬は使ってきた人間によるさじ加減だとかコツというものがあるものなんです。
しょうもないことで安易に病院にかかるのはどうかと思っていますから、これらの流れは自分は良いと思っています。
医者も風邪だとか花粉症ばかり診てみんなに同じような処方して小銭稼ぎするのではなく、風邪をひかないアドバイス、花粉症を軽減するアドバイスなど、病気にならない体作りを啓蒙するべきでしょうね。
でもアドバイスじゃなんの金にもならないのが現実なんですけど。
それも問題だと思うのです。
だから無駄な検査したり無駄な病名付けて管理料取ったり、無駄なワクチン勧めたり、しょうもないことで金稼ごうとするのです。
医療そのもの、保険診療そのものがゆがんでいるから、いよいよこのような議論をしなければならない事態になっているのでしょう。
ゆがみを直すためには痛みを伴いますし、普通に風邪の患者さんみて…花粉症の患者さんみて…で食っていける時代ではないのです。
いつまでも過去にしがみついているべきではないですし、医者はどうあるべきかについて考える時期ではないのでしょうか。
そしてここまでセルフメデュケーションを推進したり、自己責任という方針をとるのであれば、ワクチン打てとかそういう圧力もやめてほしいですよね。
ワクチンも自己責任で自分で考えて判断します、って感じです。
