前回に続いてまたもやホスピス型住宅のお話しです。
しつこいですよね。
というのも、ついつい身近な看護師さんのお話(ホスピス型住宅に面接に行った話)を書いてしまって、当初書こうと思っていた内容を書くことを失念してしまったのです。
ということで今回元々書こうと思っていたことを書きます。
というか紹介します。
なぜか国の規制はゆるゆるのままで、一体何やってんだという感じなのですが、メディアであるとか学会などはやはり問題視しています。
メディアは前回いろんな記事を紹介しましたが、NHKでも取り上げられて特集が組まれていたようです。
12月2日にクローズアップ現代で放映されたようです。
『「最期は家で」と言うけれど…急増“ホスピス型住宅”とは?』
観てないから内容知りませんけど。
そして、学会に関しては「在宅医療連合学会」というところが、学会員にアンケート調査をおこない、その集計結果を12月1日付けで発表していました。
ホスピス型住宅における訪問看護と訪問診療の連携に関する実態調査報告(速報)
ホスピス型住宅における訪問看護と訪問診療の連携に関する実態調査結果(速報)
(↑上記の題名、同じじゃん。かと思いますが、上は「報告」、下は「結果」となっています。まるで間違い探しのようです。)
上のリンクの「報告」の方は分析してまとめられている感じで理解しやすいかもしれません。
注目すべきは
—
7. 不適切なリクエストの実態
訪問看護指示書への虚偽病名の記載を求められた経験を有する在宅医は40%(108人)に達している。
また、過剰な訪問頻度や複数人訪問の記載のリクエストを受けた経験を有する主治医は37%(100人)となってい る。
8. 主治医変更圧力の実態
リクエストに応じないことに対する主治医変更の圧力を経験した在宅医は59.3 %(160人)に上り、そのうち19.3%は実際に主治医変更が行われ、14.1%は不適切なリクエストを受けて自ら訪問診療を終了しており、実際に主治医変更を経験した医師はあわせて33.4%に達している。
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でしょうね。
在宅医療連合学会に所属している500人近い回答の結果になります。
緊急の調査となっているようで、どれだけ実態を反映しているのか分かりませんが、
・虚偽病名の記載を求められたのは40%
・(施設や訪看のいうことを聞いてくれないと)主治医を変更すると脅されたのが約60%
とのこと。
・そのうち約20%は実際に主治医変更が行われた。自ら身を引いたところを含めると、合計33.4%が理不尽に主治医変更となった
ということです。
自分の少ない経験からですが
「実際に主治医変更が行われたのが本当にたった20%なのかなぁ」
と思うところがあります。
ひょっとしたら上記アンケートで「主治医変更が行われなかった」という人たちは、最終的に「施設や訪問看護の言いなりになった」のかもしれません。
ですからできれば
「施設や訪問看護の要求を突っぱね続けてどうなったか」
の質問もして欲しいですし、
「理不尽に思いながらも最終的にリクエストに応じた」
施設や医師の集計も行ってもらいたいところです。
まぁ「理不尽に思いながらも最終的にリクエストに応じた」にマルする人は、ある意味「不正に手を貸した」ということになりますから、どれだけ正直に答えてくれるか疑問ですし、正確な実態調査は難しいでしょうね。
無記名でアンケートをするにしても、無記名だとその回答の信憑性に関わってきますし、かといって記名式になれば正直に回答しないところも増えてしまいます。
今回のアンケートもインターネットでの調査でしたが、自分の施設名を入れないにしても特定使用と思えば特定できるでしょう。
どこか遠くのネットカフェなどから回答すれば施設は特定されないかもしれませんが。
不必要な訪問看護指示書を発行を一切していないという、堂々としたところしか正直に回答しないでしょうし、あるいは、上記調査には、すでにホスピス型住宅・訪問看護とべったりな医療機関も回答しているかもしれません。
そうだとしたら実態とかけ離れた結果が出てもおかしくありません。
例えば、
「7.訪問看護指示書に記載する病名に「手心」を加えるようリクエストされたことはありますか?」
という質問がありますが、施設・訪問看護とべったりな訪問診療医であれば、リクエストされる前に自ら手心を加えているでしょう。
率先して手心加えた訪問看護指示書を発行しているようなクリニックです。
そういうクリニックが回答者に含まれていたら正確なデータは出てきません。
そして自分はこの学会に入っていないですが、この学会に入っていない訪問診療医で同じような経験をしている人は多くいると思います。
また医療者向けの掲示板でもこの話題が出てきており、複数名同じようなことを経験されています。
上記PDFの「報告」の一番最後「6.学会の見解と提言」には
『今回のアンケートで明らかになったように、決して少なくない事業者の不適切な運営により、在宅医療の根幹である患者中心性、多職種連携、自由な医療アクセスが損なわれているといった重大な歪みが発生していることは看過できない問題となっている。』
と書かれています。
「自由な医療アクセスが損なわれている」に関してはずっと前からです。
これまでブログに書いてきたように、本来は患者さんや家族の希望で訪問診療クリニックや訪問看護ステーションを選べます。
ですが、施設側から特定のクリニックに誘導されるケースが非常に多いです。
(施設とケアマネが結託している場合はケアマネから誘導されます)
本来はどこのクリニックを選んでも良いのですが、そこを十分な説明をせずに、「この施設は○○クリニックと提携していますので」みたいな感じで誘導されます。
ひどいときは「○○クリニックにしないと入居できません」みたいな感じで脅される場合もあります。
そこまでハッキリ言う場合もありますし、そう思わせるような言い方をしてきます。
同じように訪問看護ステーションも同様です。
訪問看護ステーションに関してはケアマネの采配によって決められることが多い印象があります。
(ホスピス型住宅ではなく一般の訪問診療の場合)
もちろん初めての施設入居で、どこのクリニックがいいとか、どこの訪問看護ステーションがいいとかわかず、施設やケアマネさんにお任せということがほとんどだと思います。
しかしまれに、「○○クリニックがいい」という希望を持って入居される患者さんやご家族がいるのです。
自分なんて医師一人でやっているちっぽけなクリニックですが、それでもこれまでこのような話は数多く聞いてきました。
そして特定のクリニックに誘導する施設なのに、ご本人・ご家族の強い希望でうちを指定してくれたことも実際にあります。
その際はさながら敵地に乗り込んでいくイメージですが、施設から嫌がらせを受けたとかそのようなことはありません。
「自由な医療アクセスが損なわれている」ことなんてずっと前からですし、今でも普通に行われています。
医療機関は自由に選んでも良い旨を入居時にしっかり説明するように義務づけるとか、特定のクリニックに誘導している施設にはペナルティを科すとか、そこまでしないと変わらないでしょうね。
今の日本では医療機関は自分の希望で自由に選べるのが原則であるのに、施設に入居するとその原則はないと勘違いしている人が多いと思います。
というか施設やケアマネが、患者さんや家族が勘違いするように説明している部分も大きいと思います。
正直特定の施設に誘導するような施設には入居するべきではないと思いますし、あるいは誘導するケアマネも変えた方がいいでしょう。
そんなことをするのはそれなりのところです。
少なくとも患者さんのこと第一では考えていません。自分都合で動いているだけです。
ちなみに今回のネタに関して他のお医者さんもブログに書けていました。
「ホスピス型住宅」で行われている虚偽記載要求と主治医変更圧力:日本在宅医療連合学会による医師493名からの悲痛な叫び
とてもわかりやすくまとまっています。
そしてズバズバ書いています。
こちらには
『「訪問看護指示書を使った不正請求に協力しない医師は、ホスピス型住宅から排除される」という構造が、日本全国でかなりの程度“標準化”していることを示しています。』
と書かれています。
そして国の責任についても明言されてます。
ほんといつまで放置していくんだと思います。
在宅医療、介護の分野は本当にきれい事ばかりじゃないです。
というかきれい事じゃないことの方が多い感じがしますし、そんなのを目の当たりにすることがしょっちゅうです。
ちなみにホスピス型住宅とは関係ないのですが、札幌市では
「在宅医療のオンライン診療導入促進モデルの構築」
とかいうプロジェクトがあるようです。
https://www4.city.sapporo.jp/scg/task/post-035.html
「在宅でオンライン診療?
それじゃ在宅の意味ないじゃん。ただのオンライン診療でしょう。」
なんて思ったのですが…。
上記リンクにある「課題」には
『高齢化の進展により在宅医療のニーズが高まる中、札幌市は在宅医療を担う医療機関が少ない。参入障壁の解消策として医師の訪問診療に係る負担軽減と、診療効率の向上が求められているが…』
なんて書かれていますが、札幌市、在宅医療を担う医療機関多いですけど…。
確実に着実にスゲぇ増えてますけど(確実に着実に、って韻を踏んでラッパーみたいになってしまいました。確実に⤴着実に⤴スゲぇ増えている事実。それが真実。キマった?)。
それに「診療効率の向上」とか書いてありますけど、そもそも在宅医療でそこ求めるものじゃないでしょって思うのですが。
「官民連携に期待する事項、民間事業者の有するオンライン診療システム」なんて言葉もあるように、結局民間の会社が強引に食い込んできたような感じではないでしょうか?
そして意味分からないのが最後の部分です。
「備考/その他参考情報」に、
『今後の医療提供において、在宅医療の重要性は一層高まると見込まれることから、札幌市として本事業を通じて、在宅医療の効率化と医師の負担軽減を図り、もって市民のQOLの向上を目指す。』
なんてそれらしいことが書かれていますが、「在宅医療の効率化と医師の負担軽減を図る」ことが、どう「市民のQOLの向上」につながるのでしょうか?
まったく理解できません。
「在宅医療の効率化と医師の負担軽減を図る」ことが一般市民にどう関係するのでしょうか?
このモデル事業の意義がまったくわかりません。
実は同じようなことをすでに新潟市で行っていて、実施報告書も閲覧できます。
新潟市在宅医療のオンライン診療導入モデル事業実施報告書
これを見れば札幌市でやろうとしていることが理解できるかなぁと思ったのですが…。
結論から言うとやはり意味なくね?と思ってしまいます。
これを見ると、医療機関は
「得られる情報に限りがあり十分な診療ができなかった」
と答えているところが多いのですよね。
しかも参加した訪問看護のアンケートでは
「今後取り入れたくない」はなかったようですが、「積極的に導入したい」と思った施設は一施設もなかったようです。
とにもかくにも、「在宅医療×オンライン診療」の組み合わせがよくわかりません。
訪問診療においては通常月2回もしくは月1回定期的に診療します。
仮に月2回として、1回は対面での診療、もう1回はオンライン診療をして医師の負担軽減につなげるという意味合いなのでしょうか。
1回をオンライン診療で済ませることができるなら、それだったら最初っから月1回の訪問診療で十分じゃないですかね。
電話で様子を聞くことだけでも事足りそうです。
なんかオンライン診療に関わる民間の通信事業者などが強引に在宅医療の世界に食い込んできたように感じてしまいます。
在宅医療は在宅医療、オンライン診療はオンライン診療で今まで通り分けて考えていったっていいと思います。
在宅医療やっているクリニックがオンライン診療やりたければやればいいだけの話で、別にモデル事業化する必要はないと思います。
結局はいろんなお金が動いたり利権の話だったりするのでしょう。
自分はオンライン診療はやる気はないですね。
画面上だとやはりその人の雰囲気を感じることができません。
顔色だってモニター上だと正確な色あいにならないだろうし、手足の冷えの状態も分かりません(体温とは異なりますから)。
お腹の動きだって分かりません。
お腹が張っているかどうかも分かりません。
声の質も、スピーカーを通してだと正確に分かりません。
それにモニター上だと全身をみることができません。
見ていないようでなんだかんだいって、直接診察するときは全身を見ています。
何より患者さんのエネルギーを感じることができません。
とりあえず薬を出すみたいな適当な診療だったらいいかもしれませんけどね。
本当医療の世界もビジネス色が広まってきています。
もともと医療自体がビジネス化しているとこともありましたが、いろんな民間業者が食い込んできているということです。
食い物にしているということです。
冒頭のホスピス型住宅なんかまさにその典型例です。
そもそも高齢者住宅に土建屋とか損保会社とかの民間がどんどん参入しているところからゆがんでいるのだと思います。
HPなどではいいことばかり書いていますけど根底にあるのは儲け主義なのは間違いないですからね。
純粋な在宅医療だとか介護というものは今やレアな存在になっているのかもしれません。
