老衰

今晩、お看取りをさせていただきました。

毒ばかりが蔓延している現代では、癌や脳卒中、心疾患などで亡くなるケースが多く、老衰で亡くなることはなかなか難しくなっています。

今回お看取りをさせていただいた方は「老衰」でした。
本当に純粋な老衰です。

静かに自然に息を引き取られました。

この方は当初、当クリニックの外来に通院されていました。
自宅がクリニックから徒歩1分のところにあり、ご自身の足で一人で通院されていました。

大の病院嫌いなのですが、冠動脈バイパス術をされた既往があり、前医からは血液をサラサラにする薬が出ていたようです。
その薬だけもらいに来るという感じでした。

採血も最小限にしかしていなかったのですが、当初ビタミンや亜鉛が不足していたこともあり、亜鉛補給のお薬を処方したりしていたのですね。
しかも「体がかゆい」という困った症状が続いていたそうなので。
しかし結局は、血液をサラサラにする薬しか飲んでいませんでした。

薬をもらったら予約もせず帰っていくのです。
そして薬がなくなる頃に、突然ふらっとクリニックに現れます。
自分は訪問診療で外に出ていることが多いのですが、本当に絶妙な良いタイミングにやってくるのです。
どうも自宅前でタバコ吸いながら、往診の車があるかどうかを確認してクリニックにやってきていたそうです。
本来は当クリニックは完全予約制ですが、とても憎めません。
少し雑談して薬を処方し…の繰り返しでした。
(※当クリニックは完全予約制です。この方はご近所特権です。)

そして心臓のバイパス術をしていたというのに、タバコを吸っていました。
自分は「苦しかったらタバコ減らした方が良いですよ」くらいに軽くしか言ってきませんでした。
ご本人はそのときはもう80歳後半でしたから、大好きなタバコを取り上げるのも酷です。
タバコが心臓に悪いということは本人もこれまで口酸っぱく多くの人に言われてきただろうし、それでも自分の判断で続けられているのです。
それで命が縮むとしても自分の責任だとわかっているのです。
だからよっぽど体調を崩さない限りはタバコについて深く触れたりはしません

で、自分たちが訪問診療に車を走らせると、たまにその方が歩いている姿を見かけたりするのですね。

パチンコをちょろっとして、喫茶店に行ってコーヒーを飲むのが日課だったそうですが、だんだん歩くのがおぼつかなくなっていっていました。
なんだかそのだんだん衰えていく歩行の姿をみるのが、少しつらかったです…。

そして1年半前、転倒して慢性硬膜下血腫を受傷、それから筋力もかなり落ち、横になる時間が増えました。
退院するときは、入院中の病院からは「誤嚥をしてしまうから自宅での療養は無理だ。たぶんすぐに再入院か、すぐに看取りの方向になるかもしれない。」
との情報だったのです。
しかし本人は強く自宅に帰りたがっており、同居するご家族もサポートをする決心をされました。
それから訪問診療に切り替えとなりました。

結局、「もう自宅ではみれない。すぐに誤嚥を起こす。」と言われながらも、1年半自宅で過ごすことができました。
ただ誤嚥は実は1回起こしました。
退院して半年後くらいです。
病院嫌いとはいえ、肺炎であれば治る可能性があると判断し、救急搬送しました。
そして2週間入院予定のところ、本人はまたもや強く自宅に帰りたがり、1週間で治して自宅に帰ってきました。

リハビリなどがんばり、デイサービスにも行ったりしていましたが、時間の経過とともに横になる時間が増え、食事量も徐々に低下していったのです。
とはいっても、ほぼ寝たきりの状態だったのに、この春くらいまでは結構食欲はあった方かもしれません。
食べる量は少ないけれど、お腹がすいたら主張してくるのです。

でも徐々に食事量は減っていき、本日静かに息を引き取られました。

一時褥瘡もできてしまいましたが、訪問看護師さんのサポートもあり、低栄養にもかかわらずしっかりと傷を治して、自分がお世話になった肉体をきれいにして旅立っていきました。

本当に最期まで「生ききった」というのがピッタリくるような人生でした。
大往生です。

お看取りとは、その人のこの世での肉体の終わりを告げる仕事です。
今回のケースでは90年以上生きてきた方のこの世での人生の終わりを告げることになります。

死亡確認って見た目は結構簡単なことをやっているようにみえるけれど、重大な仕事なんだなと改めて思い知らされます。

ユーモア、特にブラックユーモアが大好きで、人を笑わせるのが好きな方でした。
ブラックユーモアですから、その方をよく知らない入院中のスタッフにはそれが通じず、苦労されたそうです。
あの世でもマイペースにやっていくのでしょうか。

自分で飲む薬も判断し、最期まで生ききったのは本当に素晴らしいなと思います。
(実はほぼ寝たきりの状態になったとき、栄養をつけるためにビタミン剤や亜鉛補給、アミノ酸補給などこっそりしてましたが…)

カルテを見返すと、初診は2014年7月22日でした。
ほぼピッタリ丸8年です。
クリニックから徒歩1分(いや、実際は30秒もかからないかも)の方を自宅で看取れるなんて、本当町医者っぽいです。
(町医者って言葉、誰かさんを連想させるのであまり好きではないんですけど…)

ご家族も最後まで自宅で看取るか悩まれていました。
しかし訪問看護師さんの手厚いサポートもあり、自宅で最期までみることができたのだと思います。

以前もブログに書いたかも知れませんが、こんなふうに書くと「自宅で看取るのが素晴らしい」と思われるかもしれません。
そんなことは決してありません。
家族にはいろいろな事情があるし、自宅でみれない事情だってあります。
自宅でみれる環境だとしても、病院で最期を看取るのが悪いわけでは決してありません。

「自宅での看取りが理想」みたいな風潮がありますけど、あれってどうかと思います。
個々の事情も無視して、理想を押しつけているみたいで。

今はいろいろなサービスやサポートがありますが、やはり自宅で最期を看取るのはご家族のそれなりの覚悟、負担、犠牲も必要です。
その辺を無視して、自宅での看取りを押しつけるのはいかがなものかと。
理想ばかり押しつけて、周りのスタッフや家族に負担をかけているという話も聞きます。

最後にふと思ったことを。
亡くなって死亡確認したあと、コロナ検査して陽性だったら、「コロナ死」にカウントされるのだろうか。
今回のように明らかに老衰でも。
そんな余計なくだらないことやっているところも全国にはあるんでしょうね。

もちのろん、私はそんなアホなことはしません。

そしてついでに、この方は当然ワクチン未接種です。
未接種で自分の人生を生ききって老衰を迎えたこの方は素晴らしい。

支配者というものがいて、コロナ騒動が作られたものだったり、ワクチンに何かワナが仕掛けられているとしたら、この方は支配者に勝ったことになります。
支配者の目論見に引っかからず、自分の人生の最期を老衰という形で迎えたのですから。
格好いい生き方だなと思います。