がん検診利権死守ガイドライン

前回のブログではバリウム利権についてさらっと書きました。

なぜいまだにバリウムがこんなにも行われているのか、もちろんそれはバリウム利権を守りたい人達がわんさかいるからですが、そもそもガイドラインがおかしいからです。
いまだに胃がん検診ではバリウムが推奨されたままなのです。

というか、一番最新の「胃がん検診ガイドライン」は「2014年度版」なのです。

最新のですよ?
2014年度版ですよ?

今西暦何年って話です。

2014年といえば、STAP細胞が話題になった年です。
日本エレキテル連合の「ダメよ~ダメダメ」が流行語大賞を取った年です。
「笑っていいとも!」が放送終了した年です。
スマホは「iPhone6」の年でした(現在iPhone17)。
そして、おおきな木ホームクリニックが開院した年です。

最後はどうでもいいですが、「iPhone6」ってだけでも相当昔だなって思いますよね。
Appleのホームページなどで、昔の機種と現在の機種の機能を比較できたりします。
昔のものは「iPhone7」までしか出てきませんが、相当機能が異なります。
カメラ機能しかり。
つまり内視鏡の画像や機能だってこの12年前と比べたらすんげぇ~飛躍しているのです。

「iPhone6」が出てこないということは、もう古代遺産に近いのかもしれません。
それだけ「iPhone6」の時代は古いということです。

あっ「iPhone、iphone」書いてますけど、自分はiphoneじゃないです。

デジタル技術なんて数年でも進歩するのですから、当然診断技術も日進月歩で進んでいます。

なのに、現在検診で使われているのは、「胃がん検診ガイドライン 2014年度版」

あまりにも古すぎませんか?
時代遅れすぎませんか?

こんな時代遅れのガイドラインで、皆さんがん検診を受けているということなのです。
この先進国日本において(いや、もはや経済的にも途上国といってもいいかもしれませんけど)。

胃がん検診ガイドラインが、なぜ2014年度版でストップしまたまま10年以上もアップデートされないのか。

みなさん想像つきますよね。

バリウム検査が内視鏡に比べて劣る、というデータが出てしまうのが怖いからではないでしょうか。
見落とし率も相当高いし、コストも高い。
患者さんの肉体的負担も大きいし、事故のリスクも高い。
被曝も無視できないレベルです。

さすがにバリウムや内視鏡がどれだけ検診に有用であるか、そんなデータは蓄積されているはずです。
それなのに、2014年からアップデートしないのです。
わざとデータを隠している、あるいは比較しないようにしているとしか思えません。

国立がん研究センターがん対策研究所というところは、膨大な予算を得ているはずです。
しかも「がん」対策なのですから、国が一番お金をかけている分野といっても良いくらいでしょう。
それなのにガイドラインのアップデートを怠っているのです。
なにしてんだ?って思いますよね。

ちなみに、この施設のということではなく、国の各分野における予算案はこんな感じです(令和8年度)。
・がん対策予算案:341億円
・循環器病対策予算案:44億円
・リウマチ・アレルギー対策予算案:9.4億円
・慢性腎臓病(CKD)対策予算案:2.6億円

がん対策だけ突出してますね。

それなのに「胃がん検診ガイドライン」は10年以上も手つかずのままです。

なんとか強引にバリウム検査を推奨としたガイドラインから変更したくないのでしょう。

これで本当に国民の健康を守ろうと思っていると思いますか?
本当に国ががん対策をしていると感じますか?

10年以上もガイドラインをアップデートしないなんて、もはや自分たち・バリウム利権を守りたいからとしか考えられません。
国民の健康を犠牲にして、です。
自分たちの地位や懐しか気にしていないと感じてしまいます。

こんな検診に参加する必要はない!って言いたくなります。

ちなみに、国立がん研究センターがん対策研究所のがん検診ガイドライン一覧はこちらにあります。
https://www.ncc.go.jp/jp/icc/screen-assess-manag/gyoseki/guideline/index.html

https://canscreen.ncc.go.jp/guideline/list.html

子宮頸がん検診ガイドラインも最新のものは2019年度版で、やはり古く感じますね…。
これも裏に何か事情がありそうです。

肺がん検診、大腸がん検診ガイドラインは比較的新しいのですが、実はこれらも長年アップデートされてきませんでした。
・肺がん検診ガイドライン:最新は2025年度版(以前は2006年度版)
・大腸がん検診ガイドライン:最新は2024年度版(以前は2005年度版)
・子宮頸がん検診ガイドライン:最新は2019年度版(以前は2009年度版)
・胃がん検診ガイドライン:最新は2014年度版(以前は2005年度版)

肺がんも大腸がんも約20年近くアップデートされてこなかったのですね…。
しかし胃がんは前回は9年前でした。
そろそろアップデートされてもよいかと思うのですが…。

ちなみに「乳がん検診ガイドライン」は2013年から、「前立腺がん検診ガイドライン」は2008年からアップデートされていません。
乳がん検診ガイドラインも相当古いですね…。
これまた不自然にマンモグラフィに固執しているところがありますよね。
医療技術・科学技術が進んでいるというのに、10年以上前のガイドラインで乳がん検診が行われているのは間違いありません。
なんか、国から大事にされている感を感じませんね

前立腺がんの2008年も相当ヤバいほど昔です。
18年前ですよ?
エド・はるみの「グ~!」が流行語大賞を取った年です。
しかも、前立腺がん検診ガイドラインの中身を見てもらうと、
・PSA検査:推奨グレードI
・直腸診:推奨グレードI
しかありません。
ちなみに、「推奨グレードI」とは、
「対策型検診では実施しないことを推奨する。ただし、任意型検診では個人の判断で受診可。」
「検診による利益があると判断できる証拠が不十分。」
ってことです。
どちらも「死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分」とされているのです。
対策型検診とは、集団全体の死亡率減少を目的として実施するものを指し、住民検診などが当たります。
こういうものには適さないけど、個人で受ける分には勝手にどうぞ、って感じです。
前立腺がんに至っては過剰診断で無駄な治療を受けたあげく排尿障害に苦しむケースも多くありますから、これでいいのでしょう。
前立腺がん検診には利権構造はないのかもしれません。
でも推奨できる検査がないとなるとどうすればいいの?って話ですよね。
前立腺がんガイドラインはアップデートのしようがないのでしょう。
これが現代医療の現実です。

「診断技術も日進月歩」と書きましたが、最低でも5年に1回くらいの改訂はあってもいいのではないでしょうか。

もはやがん早期発見のためのガイドラインではなくて、利権のためのガイドラインに見えてしまいます。
「利権死守ガイドライン」です。

きっと高額な検診車の他の使い道が見つかるとか、新たな検診利権が見つかれば、きっと一気にバリウム検査は廃れるでしょうね。

これが、がん検診ガイドラインの実情です。

しかも前回のブログで紹介した本の中にも書かれていますが、2013年のデータですが、胃がん検診車においてX線撮影時に医師が立ち会っていないケースが大半を占めていました
これはX線撮影時に医師の立ち会いが定められている診療放射線技師法26条に違反しているのです。
つまり堂々と法令違反、違法な検診が行われているということです。

これに対してとある団体は、医師の立会いなしでの検診ができるよう要望を出したりしています。
X 線撮影を伴う胃がん検診に関する要望について

しかもこの声明が出る少し前に、朝日新聞からこのような記事が出ていました。
(有料記事で途中までしか読めません)
医師の立ち会いなしで胃X線、長年違法状態 背景に地方の医師不足

検診と仲良しこよしの朝日新聞がなぜこのような記事を出したのかわかりません。
さすがにフォローのしようがなかったのかもしれません。

医師の立会いなしでの検診ができるようにって、バリウム検診ではこれまでも急変や体調不良、あるいは死亡事故まで起きているというのに、どうするつもりなのでしょう。
違法なことしておいて、自分に合わせて法律を変えろとか、何様?って感じです。
あまりにも雑すぎる提案だと思いますし、自分たちのことしか考えていないように感じてしまいます。
本性がにじみ出ていますね。

がん予防のためと言えばなんでも許されると思っているのでしょう。
がんの早期発見を錦の御旗にしてやりたい放題しています。
自分たちの都合のいいようにがん検診ガイドラインを策定し、都合のいいように長年改正せず放っておく。
そして国からも巨額なカネを引っ張ってこれるし。
がん検診の大元が利権で成り立っているようなものですから、検診団体もそれに群がっている構造でしょう。

そして今日も巨大な検診車が街を走って行きます。
もはや巨大な検診車をみると、そのまんま巨大な利権の塊にしか見えません。

「10年以上前の診断技術やデータに基づいたガイドライン」をもって胃がん検診が行われていることを忘れないようにしてください。
すでにAI画像診断すらも登場しているというのに、技術が進歩した現代においてこんなバカな話はありません。
(AIにすべて任せられる段階ではないと思いますけど…)

※検診自体を否定しているわけではありません(つっても自分は受けませんけど…)。
自分たちの立場を守るためだかわかりませんが、ガイドラインを頑なにアップデートしないで行っていること、前時代的なバリウム検査に固執していることが問題だと思っています。