「がんに生きる」

今回のブログの題名は、なかにし礼さんの著書の題名です。

なかにし礼さんの名前は聞いたことはありましたが、詳しくは知りませんでした。
かなりすごい人なのですね。
数多くの有名曲の作詞家だったとは知りませんでした。

北島三郎の「まつり」
細川たかしの「北酒場」
石原裕次郎の「我が人生に悔いなし」
北原ミレイの「石狩挽歌」などなど。
美空ひばりの数多くの楽曲も作詞されている方です。
ちなみにTOKIOやドリフターズの作詞もされているようです。

「がんに生きる」は、2度の闘病を経験された際の正直な心境などが
わかりやすく書かれています。

最初の食道癌の時、担当医から手術を勧められ、
セカンドオピニオン等を求めても、やはり手術を勧められます。
そこでなかにし礼さんはこう疑問を持ちます。
『なぜ、どの医者も「切る」というのだろう?』と。

どの医者も「切れ、切れ、切れ」と言う。
そこに違和感をもたれたのでしょう。

そしていろいろと調べ、
ヨーロッパでは切除しない選択をしたケースが7割、
逆に日本では切除したケースが7割
ということに気づきます。

『もしかしたら国策でこうなっているのかもしれない』
鋭い洞察までされています。

結果的になかにしさんは、陽子線治療に出会い、手術せずに食道癌が消えました。
(陽子線治療、重粒子線治療についてはまたいずれブログに書きたいと思います)

なかにし礼さんは、医者のいいなりになる患者を「善き人」と表現しています。
『自分は「善き人」にならずに癌治療に望んだから、自分にふさわしい方法を見つけられた』
と書かれています。

「善き人」
「善き患者」
とは、やはり素晴らしい表現をするなぁと思いました。
さすが文字の達人、言葉の達人です。

自分も、患者さんは「善き人」ではあるべきではないと思っています。
ふだんの高血圧や脂質異常症などの慢性疾患の治療でもそうですし、
それこそ命が関わる癌治療に関しては絶対に「善き人」になるべきではありません。
「善き人」=「医者のいいなり」
にならずに疑うことも必要です。
自分の身は自分で守らなければなりません。
本当にこの薬を飲み続けていていいのだろうか、
この治療法が自分に一番合っているのだろうか
と疑問を持ち、自分でできるところまで調べるべきです。

他に方法がないのか、自分でもっと調べるべきです。
あるいは他の治療法を知っている先生にセカンドオピニオンに行くべきです。
(大病院のセカンドオピニオンはおすすめしません。きっと同じ結論を出してくるでしょう。)

ちなみに自分が研修医の頃に聞いた話ですが、
食道専門の外科医の先生は
「自分が食道癌になっても、絶対に手術は受けない」
と言っていました…。

 

この著書には奥様の手記もあります。
家族がどう思っていたか、考えていたかなどです。

そこには「精神腫瘍科」という聞き慣れない言葉が出てきます。
日本でもまだまだ少ないですが、何カ所かの病院にあります。
「がん」と宣告されると、本人も家族もかなり精神的にやられてしまいます。
それこそ、そのストレスがさらに癌を増長させているのではと思えるくらいです。

「がん」の告知には必ず心のサポート、ケアが必要です。

しかしほとんどのケースでは、告知をするだけして、心のサポートはありません。
すぐに治療の話です。というか治療の話だけです。
患者さんや家族の都合も聞かずに勝手に手術の日程を決められてしまうこともあります。
医者としては、「早く手術を組んであげた」という善意なのかもしれませんが…。
患者さんの心のサポートは考えず、ただ治療だけを提案する場合がほとんどではないでしょうか。

なかにし礼さんは、その治療法の話の進め方に対し、
『何だか非常にビジネスライクな印象を持った』
と感想を述べています。

心のサポート、精神腫瘍科の詳しいことについては
「がんでも長生き心のメソッド」
という本が参考になると思います。

聖路加国際病院精神腫瘍科の保坂隆先生と、乳癌ステージⅣの今渕恵子さんの
対談形式の本になっています。

上記2冊の本は、癌と診断された人やその家族だけでなく、それ以上に癌治療に携わる医療スタッフに一番読んでほしいですね。

癌治療は心のサポートもセットで考えなければなりません。