在宅推進というけれど…

これから超高齢化社会を迎えるにあたって(すでに超高齢化社会ですが)、亡くなる方も当然多くなります。
いわゆる多死社会です。
病院で死ねない状況です。

そこで国は在宅で看取る方へ誘導しています。
当然医療費抑制の狙いもあります。

ちなみにもともと日本は自宅でなくなる方が多かったのです。
しかし国民皆保険や、高齢者の医療費無料政策などで、みんな病院にかかるようになりました。
そこから病院で看取るケースが爆発的に増え、自宅で看取るケースと逆転したのです。

確かにこれまで住み慣れた自宅で最期を迎える…というのは理想です。

しかし本当に自宅で最期を迎えられるような社会なのでしょうか?

いまや国民の貧困化はすさまじいものになっております。
他の先進国と比べても、日本だけが給料は上がっておりません。逆に下がっています。
皆生きていくのに必死で、主婦の方も仕事に出なければやっていけない状況なのです。
つまり家に誰もいないのです。
あるいは昔からすでに核家族化が進んでいます。

確かにいまや種々の介護サービスも充実し、自宅に一人でいることになっても
ある程度サポート体制は構築できるでしょう。
しかし十分なサポート体制を整えるのにもお金がかかります。

確かに最期まで在宅で過ごすことは理想です。
大賛成です。
でも日本の社会が変わらないと、理想は理想のままで終わるでしょう。
あるいは家族が犠牲になるだけです。

世界各国が反対する中、日本は消費税増税に突き進みました。
消費税というものは、所得が少ない人にこそ負担が大きくのしかかる不平等な税金です。
ましてやこれまで消費税増税分は、法人税減税分と相殺されています。
ほとんど社会保障費になんて利用されていません。
法人税減税によって大企業の経営者が儲かるだけです。
だから経団連のお偉いさんなどは消費税増税には反対しないのです。
ましてや輸出企業にいたっては、消費税の還付まであるくらいですから。これも莫大な金額です。

財務省が強力に推し進めている「一般庶民からお金を巻き上げる」政策と
厚労省がすすめる医療政策は相容れません。

自宅で介護をされている家族の方は本当に大変です。
仕事で疲れながらも、家族のためにという熱い気持ちで乗り越えている状況です。
これではいつ体を壊してもおかしくありません。
ましてや今後高齢者の医療費負担増、介護費負担増も懸念されます。
これじゃどんどんお金なくなってしまいますよ。
お金がなければ家族は働きに出なければならない。
それで一体どれだけ十分なサポートができるというのでしょう。
介護費の負担も増えてしまったら、十分な介護サービスも受けられなくなります。
家族が犠牲になって無理をしてでも在宅で過ごさなければならないのでしょうか?

「在宅でみるのが当然」という風潮が広まってしまうのが怖いです。
これが当たり前になってしまうと、犠牲者がたくさん出てしまいます。

だからといって施設にどんどん入れろと言いたいわけではありません。
やはり在宅で過ごす、自宅で最期を迎えるのは理想です。
これは間違いありません。

ただ家族が犠牲にならずに、潰れないで、理想の最期を自宅で迎えられるようになる社会にするにはどうしたらいいんだろうと常々考えています。
日本(一般国民)の貧困化が進む以上は解決策はなかなか見つかりそうにもありませんが…。

とりあえず今自分ができることとして、
余計な薬によって体調を悪くさせ(いわゆる医原病)、余計な入院を増やさないようには最低限気をつけています。
1回の入院だけでもかなりの出費になりますから。
風邪を引かさせもしません(なんか日本語がおかしいですが…)。
そんな気持ちで診療にあたっています。

・無駄な薬を極力省き、必要最低限なものだけにする
・無駄な医療行為をしない
・十分な栄養(ビタミン、ミネラル等)を補給する

これだけでも結構体調は安定します。
余計な医療費を抑え込むことができます。

今回のブログの結論として、
在宅看取りをすすめるのであれば、いまの日本の社会構造を変えていかなければなりません。
医療・介護の負担が増えるばかりで貧困化が進む日本で、在宅看取りが劇的に増えるとは到底思えません。
家族にそんな余裕はありません。
ただ単に医療の側面から理想を語っていてもしょうがないのではないでしょうか?