初心にかえって減薬の話

最近コロナネタのブログばかりでした。
今回は初心にかえって具体例で減薬の話をしたいと思います。

70代男性の話です。
診断は「高血圧、パーキンソン症候群、骨粗鬆症、脳梗塞後遺症(?)」。
内服薬は

クロピドグレル(25)1回1錠1日2回 →血をサラサラにする薬
アムロジピンOD(5)1回1錠1日1回 →血圧の薬
アムロジピン(2.5)1回1錠1日1回 →血圧の薬
オルメサルタンOD(20)1回1錠1日1回 →血圧の薬
ロスバスタチン(2.5)1回1錠1日1回 →コレステロールの薬
マドパー1回1錠1日3回 →パーキンソンの薬
タケキャブ(20)1回1錠1日1回 →強力な胃薬
リセドロン(17.5)1回1錠週1回 →骨粗鬆症の薬
クエン酸第一鉄ナトリウム1回1錠1日1回 →鉄剤

骨粗鬆症の週1回飲む薬を除いても毎日11錠飲む計算です。

よくよく話を聞くと、
・急に倒れて歩けなくなってパーキンソンと診断された
・約20年前に転倒して手首を骨折した
・日中は寝てばかりいる(活気の低下)
・怒りっぽいこともある

そして
・初診時の血圧は90/40
・血液検査で総コレステロール133(基準値130~220)、LDLコレステロール63(基準値70~139)

急に倒れて動けなくなったのは、血圧の下げすぎの可能性があります。
パーキンソンと診断されたのも、外来で「歩けない」といったら「パーキンソンだね」と言われてパーキンソン薬の処方が始まったとか。
ちゃんとした診察はなかったようです。
コレステロールの下げすぎは逆に死亡率を高めます。
骨粗鬆症も怪しいですね。
たぶん骨粗鬆症薬のせいで胃がムカムカし、それでPPI(タケキャブ)という強力な胃薬が処方になったと思われます。

血圧の薬から手をつけて減薬をしていきました。
そして今現在、上記の薬で残っているのは、

クロピドグレル(50)1回1錠1日1回(25gm1日2回だったのを1日1回にまとめた)
マドパー1回0.5錠1日2回
フェロ・グラデュメット1回1錠1日1回(鉄剤。当初より種類を変更。)

のみです。11錠だったものが、実質3錠に減りました。
マドパーはいずれ中止予定ですが、パーキンソン薬なので慎重に減量していっています。
多分鉄剤もいずれは中止できる予定です。
となると11錠が1錠になることになります。
実はこれ以外にも、初診時採血で亜鉛欠乏、ビタミンB12欠乏があったので、今それらを補充する薬も飲んでいます。
しかしそれらは薬とはいってもサプリメントと同じです。

今現在、顔色も良くなり、日中も眠ることがなくなったといいます。活気が出てきました。
パーキンソン薬も減量してきていますが、転びやすいということもありません。
胃もムカムカしません。
ここ最近の診察時の血圧は120~140台でまったく問題ありません。

今回のケースの減薬についてはまったく難しいものではありません。
ただ患者さんの判断でおこなうと何かあったときに問題になってしまうので
必ずかかりつけの先生に相談してください。
医者であれば誰でもできる減薬です。
といっても、結構患者さん自身が「これ飲んだらなんか調子悪い」と思って
自分の判断で薬を調整していることもありますが…。
そのことを主治医に正直に言えないのは、医者が信頼関係を築けていないからですね。
医者の責任です。

最初の処方なんてまさに薬害ですし、医療費の無駄遣いもいいところです。
意味のない薬を飲ませていたことですから、医療という名の下に行われた合法的な傷害です。
おっと、かなり過激な発言をしてしまいました。

今はようやく高齢者の薬漬け問題や、残薬問題などが注目されてきています。
けれどいまだに意味のない薬漬け医療は行われています。
こんなに無駄な薬を処方したって、院外薬局対応の病院はなんの得にもならないんですがねぇ。
薬局と製薬会社が得をするだけで、犠牲になるのは患者さん(金銭的・身体的に)と、税金を払っている国民です。

こんないい加減な医療をチェックする機能もありません。
チェックする機能がないわけではありませんが、病名がしっかりとつけられていれば問題なく通り抜けてしまいます。
薬に対する病名がしっかりとつけられていればお咎めなしです。
じゃあその病名が正しいのかをチェックする体制があればいいじゃないかと思いますが、そのチェック体制はありません。
医者の裁量です。

国民皆保険はとてもすばらしい制度ですが、無駄遣いの温床にもなってしまいます。
無駄遣いによって、誰かは必ず得をしています。
アメリカの医療ではこんな日本のような無駄遣いはないでしょうが、必要な医療を受けられない人も多いです。

日本というのは必要な医療は受けられるけど、おまけに無駄な医療も押しつけられるリスクが高いともいえます。
必要ない薬を飲まされるなんてまっぴらごめんですよね。

本当に必要な薬を見極めて治療するのが本当の医療です。
人は個々違うのですから、それを見極めて薬を微調整するのが当然です。
ガイドラインがすべてではありません。
すごく当たり前の話ですが、当たり前じゃないことがまかり通っているのが今の医療です。