降圧薬について思うこと

訪問診療にうかがっているお宅で、認知症の奥様を献身的に介護なさっているご主人がいます。
食事、洗濯、掃除、そして奥様の介護を一手に引き受けておこなっています。

そのご主人はこれまで大きく体調を崩したことはなく、かかりつけの病院もありません。

あるとき、ご主人の顔色や表情がすぐれない様子だったので、少し尋ねてみました。
そうすると、最近血圧が高いとのこと。
詳しく聞くと、血圧が190~200以上になることもあるとのことでした。

ご主人が潰れては、奥様をみてくれる人がいなくなってしまいます。

そこでご主人を診察し、昔からある降圧薬を少量だけ処方しました。
190~200以上が日常的になるのはさすがにちょっと危険かなと思いましたし、運動をやる時間もありません。
生活習慣を急に変えるわけにもいきませんから、緊急的に血圧の薬を使って下げるしかありません。

2週間後、奥様の診察に伺ったときご主人の表情をみるととてもお元気そうでした。
血圧もこれまでよりだいぶ落ち着いて、150~160台とのこと。
基礎疾患もなく年齢的には良いかなと思います。

これまで自分は、
「血圧の薬は飲まないに越したことはない、降圧薬は飲まないに越したことはない」
と思っていました。

しかし今回のご主人の経過をみて
「あぁ、血圧の薬も必要なときもあるんだ。飲んでいた方が調子が良いこともあるんだ。」

と少し考え方が変わりました。
もちろん心不全の患者さんなどでは、心臓の負担を減らすために降圧薬が必要になることはあります。
しかし基本的に既往歴や基礎疾患のない人には必要ないと考えていました。

で、さらに2週間後。
ご主人がなんだか顔色がすぐれない様子です。
お話をうかがうと、血圧は130~140台とのこと。
「下がりすぎると調子が悪い」
とのことでした。

すぐに降圧薬の定期内服は中止してもらって、頓用で内服してもらうように変更しました。
血圧が高くて調子が悪いときだけ降圧薬を飲むようにしてもらいました。

一般的には130~140台はとてもよい血圧です。
ただでさえ今の診断基準では、後期高齢者の高圧目標は135未満(自宅での測定の場合)とされています(ちなみにその方は80歳です)。
そして今の診断基準では「血圧は低めの方がいい」とまで言っています。

この方に薬を飲ませ続け、一般的には適正という130~140台にコントロールすることが本当に良いことなのでしょうか?
調子が悪くなったというのにです。

真面目な方は、調子悪いにもかかわらずきっとこのまま黙って薬を飲み続けるのでしょう。
だって、病院の先生からはたくさん脅されていますから。
「血圧が高いと心筋梗塞や脳卒中をおこすよ」って。

医者がウソをつくはずないと思って医者を信じ、ふらふらになりながら病院に通ってお薬をもらい続けます。

しかしですよ、単純に考えて年齢とともに血管は硬くなり動脈硬化は誰でもある程度おきます。
つまりただでさえ血流が悪くなってきているのです。
そこで血圧を強引に下げることが本当に良いことでしょうか?
より心筋梗塞や脳梗塞を起こしそうではないですか?
「ふらふらする」というのがなによりの証拠です。
脳血流が低下してしまっているということですから。
転倒、骨折→寝たきりのリスクになります。
車を運転いる人なんかは事故のリスクにもなります。

調子が悪いのにこのまま薬を飲み続けると、人の体はすごいですから薬に合わせるようになります。
確かにふらつきなどの症状は少しずつ軽減してくる場合もあります。
けれど同時に、体は必要な血圧を維持しようと、また強引に血圧を上げてきます。
脳などの重要な臓器にしっかりと血液を送るために。
そうするとまた病院では「血圧が十分下がりませんねぇ」とか言われて、また薬が追加になっていきます。
これの繰り返しで薬漬けになっていきます。

自分は基本的に何もない人に、ただ血圧が高いからというだけでゼロから降圧薬を処方することはまずありません。
ただ今回は介護の事情などから緊急的に処方しました。
飲み始めてからその後の経過も詳しくお話を聞くことができ、ご主人には改めて勉強させていただきました。

もちろん世の中に降圧薬が必要ないということではありません。
必要なケースもあります。
ただ本当に必要なケースは限られています。

「降圧薬は毎日飲まなければいけない」という先入観は捨ててください。
頓服で内服する方法もあるということを知ってください。

「薬は毎日しっかり飲まなければならない」ということはひょっとしたら現代医学の洗脳かもしれませんよ。