ボーナスカット…

かの有名な東京女子医大で衝撃的なニュースがありました。

夏のボーナスカットにより、400名を超える看護師が退職希望を出しているとか…。
全職員の2割に相当するらしいです。

もともと医療機関の経営は厳しく、特に都内の大学病院はいつ経営破綻してもおかしくない状況でした。
コロナ騒動の前からです。
市立病院などの公立病院だって赤字のところばかりです。
ただ税金で補填されて何とか続けられているだけです。

こんなときにコロナ騒動が起きてしまいました。
患者さんの受診控えなどにより、収入が激減してしまっているところがほとんどです。
統計にもよりますが、8割の病院で収入が落ちてしまったといわれています。

自分としては、病院受診することによって逆に病気をもらってしまうリスクに気づいてくれたか…と思っていますが。

自分も従業員3名(自分含む)のこんなちっぽけなクリニックの経営者としてですが、今回の東京女子医大のニュースはとても難しいところがあるなぁと考えさせられてしまいました。

確かにコロナ騒動により、自分も感染してしまうリスクをかかえがんばってくれた従業員にはボーナスを出してあげたいと思います。

しかし不可避な効力により収入が激減してしまった。
お金がないのですから、ない袖は振れません。
ならば借金してでもボーナスを出すべきなのか。
けれどそれは問題の先送りにしかなりません。
収入が激増する見込みがなければ、借金はどんどん積み上がってしまうだけです。
会社の資産である土地を売るとかビルを売るとか整理しなければ解決にはつながらないでしょう。
小さなクリニックなんて資産なんてありませんから、ただ借金漬けになるだけです。

経営改革をするとかいったってたかがしれています。
医療はあらかじめ国で決められた点数に基づいてしか報酬が入りません。
何でもかんでも節約節約すればいいかというと、そんなことすればとても息苦しい職場環境になってしまい働きづらくなります。
ましてや医療(病院)の世界では「節約」というものはあまり似つかわしくありません。

ガーゼがもったいないからちぎって使う?
糸がもったいないから、少し荒く縫う?
CTの電気代がもったいないから、撮影枚数を少し減らす?

そんなことできるわけありません。
それ以外に病院でできる節約は事務的なことくらいしかありません。
紙の節約とか。トイレットペーパーの節約とか。
それもねぇ…という感じです。

節約での経営改革は限定的です。

やはり経営者としては、「収入がないのだからボーナスは出せない」のです。
ただそんな乱暴なこともどうなのかなぁとは思ってしまいますよね…。
難しいところです。

しかし基本的に会社でも病院でもそうだと思うのですが、
がんばってくれて会社・病院の収入が上がっているからその対価としてボーナスを支給する」
というものなのではないでしょうか?

今回やっかいなのは、「がんばってくれたけど収入が上がっていない」点にあるかと思います。
それが問題を複雑にしています。

最近は一般企業では、ボーナスカットは当たり前になりつつあります。
しかし医療界は昔はたくさん儲けられた時期があるせいなのか、今でも「ボーナスが出て当たり前」という感覚になっています。

そういう医療職の勘違いが今回の様な騒動を引き起こしていると思われます。
病院も今や一般企業と同じです。
ましてや一発商品を当てて大儲けするするなど、一般企業ではできることが病院ではできません。
その分よりたちが悪いかもしれませんね。
収入を飛躍的に伸ばすことなど困難ですから。

「病院は儲かる、ボーナスは出て当たりまえ」という医療者の勘違いを正さなければなりません。

この時代経営者としては、「ボーナスには期待しないでほしい」というのが本音ではないでしょうか。

ただ、今回の女子医大のようにトラブルに発展しまうケースが増えてくると思われます。
経営者としてできることは、最初から給料を年俸制にしてしまうことなどが考えられますね。
そして本当に収入が上がったときや業績次第で、ボーナス的なものをつけるとか。
根本として「ボーナス」という慣習が良くないのかもしれません。

今回の女子医大の件、こんなにも退職者が出てしまっては、退職金のほうが高くつきそうな気がしますね。
ただ退職金を積み立てているケースもあるので、女子医大としてはお金のことだけを考えるとその方が助かるのかもしれませんが。

しかし今回の件、女子医大のコメントがいただけません。
「現在はベッド稼働率が落ちているので仮に400名が辞めても何とか回るのでは」
「最終的にベッド数に見合った看護師を補充すれば良いこと」
「足りなければ補充すれば良いことだ」
ですって。
あたかも使い捨てのような発言。
職員に対する愛がまったく感じられません。
こんな職場辞めて正解かもしれません。

ちなみに、経営するということはただお金が入ってくるだけじゃなくて、たくさんお金も出ていきます。
雇われている側はその部分がみえているわけではないので、そこで誤解も生まれてしまうんですよね。
雇われている方は大きな収入だけしかみえていないことが多いですから、「何でこんなに儲かっているのに、給料が安いんだ!」と不満を持ってしまったりします。
不満=経営者への不信感です。
そうなると溝が深まるばかり。
出ていくお金もオープンにすればいいのかもしれませんが、細かくそこまで全従業員に説明するというわけにもいかないでしょうし。

そう考えると、今回の女子医大の退職希望者も「経営者へ不満・不信感があって、職場に対して愛がなかったのではないか」とも推測されます。
患者さんに対しては当然愛はあったと思いますよ。
もちろん今回の看護師さん達も、コロナの影響により病院の収入が激減していることはわかっていたとは思うのです。
「自分の給料はどうなるんだろう」って、収入が減ってしまった企業の労働者だったら全員心配になると思うのです。
ましてやボーナスです。
「ボーナスが出ない」ことをきっかけにして今回申し出ただけで、最初から辞めたい気持ちが少なからずあったようにも感じます。
最初からお互い違う方向を向いていたのかもしれません。

ところでJTBでも冬のボーナスなしということが決まったそうです。
これから他の企業でも当然出てくるでしょう。
そうなれば消費が落ち込むわけです。
こうやって経済が悪化していくんだろうなぁと思っています。
この悪循環をどうやって断ち切るのか…。
消費の落ち込みを回復する手立ては、消費税減税くらいしかないと思いますが。

消費税減税したら社会保障費はどうするんだという議論にもなりますが、
そもそも消費税増税分は、法人税減税分とぴったり当てはまっているわけですし、
法人税を戻せばいいんです。
大企業なんて、法人税が戻ってもなんやかんやうまいことやって節税するんですから。