介護している方へのおすすめの本

著者は玉置 妙憂さんという方で、看護師でもあり僧侶でもあるユニークな経歴の持ち主の方です。
ご主人を自宅で介護して看取り、その後出家されたそうです。

本の帯にはこのようなことが書かれています。
「大切な人の最期を看取る。生きていてほしい。でも、私も疲れた。

ご主人の介護では、夜中1時間おきに起こされ疲れ果ててしまい、何度か
「いっそのこと死んでくれたら…」と思ってしまったことがあると赤裸々に綴られております。

そして、
「いっそのこと死んでくれ」「いつまでも生きていて」
この二極、相反する「陰」と「陽」が、自分の中に同時に存在するという矛盾。
さらに、「陰」の面をひた隠しにしての孤軍奮闘。
「死んでくれ」と思ってしまった自分への自己嫌悪。
これらが、介護をする者を苦しめるさらなる原因なのではないかと思います。”
とあります。

この本には、看取りだとか最期を迎える人にどう寄り添うかだけでなく、
介護者として認知症患者さんへの接し方、寄り添い方も書いてあります。

介護する人にとってはほとんどの人がはじめてですし、たくさんの迷いがあると思います。
そしてたくさん悩むことと思います。
介護をする場合、「人が老いるということはどういうことか」を知らなければなりません。
あるいは「ガンになるとはどういうことか」「認知症になるとはどういうことか」など。
まずはそこがスタートです。
自分がパンクしてしまってはどうにもなりません。
一人で抱え込まないことが大切です。
困ったら主治医でもいいですし、助けを求めてください。
介護であればちゃんと案内してくれると思います。
あるいは役所に相談しても良いかと思います。

世間で、老老介護での無理心中、殺人などのニュースをみると、本当につらくなります。
もっと早く介入できれば事態は必ず変わっていただろうにと思います。

この本は、高齢の親・肉親を介護する人にとってはとても参考になるのではと思いました。

自分一人で抱え込むということでは、今日こんなことがありました。
地域包括支援センターの方から認知症疑いの患者さんを診てほしいと連絡があり、本日その方が受診されました。
元々バスガイドとして40年働いてこられ、たくさん暗記することも多かったといいます。
しかしここ最近、自分が覚えられなくなっていくという自覚が本人を苦しめていました。
遠方に住む親族からは「何度も同じこと聞くな」と叱責されるといいます。
これまでの多く苦労されてきたようで、人には話しづらいようなこともすべて聞かせてもらいました。
ここ最近、クリニックの近くに引っ越してきたようで、まったく友達もおらず話す人がいないそうです。
鍵や通帳、お金をなくすことが増え、自分でたくさんメモを書いたりして努力されていたそうです(一人暮らしをされています)。
受診中に何度か涙ぐんでおられました。

だんだんできなくなっていく自分がわかる・自覚するというのはとてもつらいことだと思います。

そんな悩みをここ半年近く自分一人で抱え込んでいました。
誰にも相談できず、どこに相談したらいいかもわからず、誰も話を聞いてくれず。
この間、自分で命を絶とうかとよからぬことも頭をよぎったといいます。
たまたま友人が地域包括支援センターに相談してくれて、今回の受診につながりました。

物忘れのテストをしてみると、確かに認知症の可能性が高いです。
しかし1ヶ月前からの予約を忘れずに今日自分一人でクリニックまでやってきました。

お母様も若くして認知症になっていたとのことで、遺伝性の可能性もあるかもしれません。
(ちなみに遺伝性があっても栄養をメインとした適切な治療で発症をブロックできる可能性はあります)

今日の受診で、悩み、思っていることをすべて吐き出してもらいましたが、それだけでもここに来て良かったと最後は笑顔を見せてくれました。

この方は話すことが大好きだとおっしゃっていました。
きっと今後介護サービスのデイサービスなどを利用したら、脳が活性化されてくる可能性も高いのではないかなと感じました。
結構デイサービスに行かれるだけでしっかりされる方はいらっしゃいます。

今日のケースは親族の介護とかではありませんが、一人で抱え込んでしまった例です。
たまたま友人が包括支援センターに相談してくれたおかげでここまでたどり着けました。
人の縁というのもは本当にありがたいと思います。

ちなみにこの方の今後の治療ですが、初診で明らかに認知症があろうともいきなり認知症薬は始めません。
特にこの方の場合は、さみしさ、ストレス、不安などが強くあって、この半年で進行してきた様子でした。
単純にデイサービスに行くだけでも良いかもしれません。
あるいは、強いストレスを感じると、亜鉛を大量に消費してしまい、記憶の中枢である海馬が萎縮してきます。
まず採血結果を待って、亜鉛不足があれば亜鉛補充を行います。
そして脳機能維持を行うために脳の栄養である、ビタミンB群やDHA・EPAを処方します。
遺伝性の可能性が強ければ、葉酸も補充の検討に入ります。
どれもこれもすごく安い治療です。

場合によっては少量の認知症薬を使用した方が良いこともありますし、あるいはうつ傾向が強い様子であればごく少量の抗うつ薬を使うと良い結果になることもあります。
今後は毎回の受診時の様子を見て検討という形になります。