HbA1cの怪

HbA1cといえば糖尿病の指標です。
「ヘモグロビンエーワンシー」と読んだりします。

過去1~2ヶ月の血糖の状態を表します。
糖尿病の診断基準にはいくつかありますが、HbA1c6.5%以上で糖尿病と診断されます。

ある男性患者さんの出来事です。
とある糖尿病専門クリニックに通院されて投薬を受けておりました。

糖尿病の薬数種類やらコレステロールの薬やら。

当クリニックで採血したところ、
HbA1cは6.1%で、糖尿病のコントロールとしては合格です。
しかし総コレステロールが150しかありません。
太っているという意味でなく、体はがっしりした体型の方ですが、
顔色は悪く元気がありませんでした。
よくよく話を聞くと、以前うつっぽくなったこともあるようでした。

そして男性にしてはフェリチン(貯蔵鉄)が低く、またしっかり治療しているにもかかわらずホモシステイン(脳梗塞、新梗塞のリスクの指標になる)もかなり高めでした。

オメガ3(炎症を抑える油)とオメガ6(炎症を起こす油)のバランスも悪く、
EPA/AA比というものでみるのですが、その数値は0.11でした。

患者さんに血液検査の問題点を詳しく説明し、内服薬について相談しました。
そうして今まで飲んでいた少量のグリメピリドとコレステロールの薬を中止としました。
グリメピリドはインスリンの分泌を促し血糖を下げる薬で、低血糖のリスクもあります。
合格ラインに入っている方が飲み続けていると、低血糖になるリスクが高まってしまいます。

で、ここからが本題です。
約3ヶ月後、その方は糖尿病専門クリニックで採血し、その足で当クリニックを受診されました。
はしごです。
というのも、「その糖尿病専門クリニックで採血するとなんだか血糖値が高く出るような気がする」とのことでした。
それで比較したいとのことでした。

その糖尿病クリニックでは、自院の検査機器でHbA1cを測定しています。
糖尿病専門クリニックですからそのような器械を持っていて当然かもしれません。
しかし当クリニックには、そのような器械はもっておらず、外注で大きな検査会社に検査を依頼しています。

確かに採血をしてすぐに検査した方が、より正確な値が出てきそうです。
しかし、HbA1cはあくまでも1~2ヶ月の血糖の状態をあらわすものなので、すぐに検査しようが数時間後に検査しようが大きく値は変わりません。

糖尿病専門クリニックの検査機器で測ったHbA1c、
1時間後に当クリニックで採血して検査会社で測ったHbA1c、
その実験の結果は…

糖尿病専門クリニック → 7.0%
外注の検査会社    → 6.8%

正直この結果にはびっくりしました。
わずか0.2%ですが、6%台と7%台では印象が違ってきます
治療方針も変わってくるのではないでしょうか?
例えば6%台だったら、「6%台だから薬は増やさず、運動と食事を気をつけてください」となるかもしれません。
一方で7%台だったら、「あぁ、7%台になってしまったから薬を増やしましょう」となるかもしれません。

あるいは、ガイドライン基準値前後だったらどうなのか?
6.4%だったら糖尿病ではありません(正確には診断には血糖値など他の要素も関わってきますが)。
6.6%だったら立派な糖尿病と診断されてしまいます。

たかが0.2%、されど0.2%。こんな誤差が起きて良いのでしょうか??

まさか糖尿病専門クリニックなだけに、わざと値を少し高めに出るように設定して患者さんを増やす…なんてことはないと思いますが。
しかし医療不信の自分としては、なんだか疑ってしまいます。
こんな風に疑ってしまう自分の性格が悪く感じてしまいます…。

例えば、今では簡単に検査できる簡易型の骨粗鬆症の検査機器があります。
あれほどあてにならない物はありません。
あれで骨粗鬆症と診断されて、効果もたいしたない治療を受けている人がどれだけいるんだか…。
検査代、薬代など医療費の無駄遣いです。
ましてや薬の副作用で相当余計な医療費がかかっていると思われます。

内科とかの開業医で簡易な骨粗鬆症検査はするべきではありません。
時間とお金の無駄です。
プラス余計な薬を出される&体を犠牲にする羽目になるだけです。
どうしても骨粗鬆症の検査をしたいのであればやはり整形外科でしっかりとみてもらうべきです。
(自然骨折の既往がなければする必要はないと思いますが…)

西洋医学では「数値」で判定をおこなっています。
血液検査の項目一つ一つをとってもそうですし、血圧の数値もそうです。
今では認知症診断も、画像検査によって海馬の萎縮度を数値化して診断したりしています。
客観的に診断、判断するためには仕方がないところはありますが、すべてがすべてそれで良いのでしょうか。
例えば画像上では明らかに海馬の萎縮度の数値では認知症と診断されるけどもしっかりされている人もいます。

診断基準のボーダーラインの数値でどうするかは、医者と患者さんの話し合いで決まるのでしょう。
医者の一方的な判断で治療されることも多いかもしれませんが…。

どこでも測っても一緒だったら良いです。
しかし今回のケースのように、検査結果に差が出てくると何を信じて良いのかわからなくなってきますね

ちなみに上記の方、糖尿病の薬を1種類やめてHbA1cは上がってしまいました。
コレステロールの薬もやめましたが、3ヶ月後の結果でも一応基準値内です。
ビタミン剤やミネラルをサプリで取っていただき、ホモシステインは15.6→8.2に改善、EPA/AA比も0.11→0.63に改善しました。
そして顔色も明らかに良くなり、活気も出てきました。

数値で判断されてしまう糖尿病の数値を除いては明らかに今の方が健康そうです
HbA1cが合格ラインにあった3ヶ月前の方が明らかに見た目は病人でした。

体の代謝がうまく回るようになったためか、基準値を超えていた尿酸値も自然に改善していました。
そしてHbA1cは上がってしまいましたが、腎機能の指標であるクレアチニンも改善、腎臓の流れの指標も改善していました。
HbA1c以外は劇的に改善し、若い人並みです。
血液検査の結果を見る限りは、何歳も若返ったような感じです。
(見た目も活気が出てきたので若返っている風ですが)

この方にとっては一体どちらが幸せなのでしょうか?
HbA1cを基準値に入れるために薬を飲み続け、顔色も悪く活気のない日々を送るのか、多少基準値を超えてしまっていても元気な日々を送るのか。
(ちなみに後者の方が他の検査数値は抜群に良いのですが)
一体どちらが健康的なのでしょうか??

ちなみに他の糖尿病患者さんで、8%後半~9%台を行ったり来たりしている方がいます。
さすがにこの数値は高めかなぁと思ってはいるのですが、薬は最小限にし、体に負担がかからない薬を選んで処方しています。
ご本人はまぶしいくらいにお元気で、血液検査状も腎機能の低下の予兆もまったくありません。
なので強引に薬でHbA1cを下げようとは思いませんし、たまに「食べ過ぎないでね」と言うだけで、ゆるゆるで治療を続けています。
こんなにもHbA1cが高い状態が続いているのに、この6年間腎機能低下の予兆がまったくありません。
「回転寿司20皿食べちゃった」とか言ってくる始末ですが、あまりにも元気なので厳しく注意する気にもなりません。
その方は食べることが何よりも大好きで、食べ物の話をしているときの表情は太陽のように輝いています。
それでも決して太っているわけではありません。

本当に高血糖自体が腎機能低下につながるのでしょうか?
血糖値に対する治療が体に負担をかけている可能性を考えなければならないのではないでしょうか?
特にインスリンです。
インスリンは血糖値を下げるというメリットはありますが、メリットはそれだけで、あとは体にとっては毒でしかありません。
インスリンは臓器障害を引き起こします
インスリンを強引に出す薬は、あまりにも血糖値がひどすぎる緊急的なときのみにした方が良いです。
(ちなみに先天的にインスリンが出ない1型糖尿病は上記に当てはまりません。インスリン投与が必須になりますが、それでも最低限にした方が良いでしょう。)

糖尿病治療はやみくもに血糖値を下げれば良いわけではありません。
体に負担がかからない治療薬を選び、高い数値だけをみて強引に下げることはしない方が良いかと思います。

実は当クリニックには、HbA1cが高くて糖尿病専門クリニックに行ったら怒られちゃいそうな人が何人かいますが、皆さんとてもお元気です。
しっかり血液検査でフォローしていますが、何も問題は起きていません。
(ちなみに高血糖だけによるリスクがあるのか不明ですが、一応それを回避するためにいくつかのビタミン剤やミネラル、その他サプリを勧めたりはしています)

HbA1cが9%前後をうろうろしている他の方がいますが、その方は逆に腎機能がどんどん良くなっています。
クレアチニンという数値も、eGFRという腎臓の流れの指標も。
ここ2年間の数値をみてもなぜかどんどん良くなっています。
(もちろんもともと基準値内で腎機能はまったく問題ないのですが、その基準値内でもどんどん数値が良くなっているのです)

高血糖は悪い、高血糖自体が臓器障害を引き起こすと言われていますし、
医学部でもそのように習ってきました。
しかしこの常識と思われていたことが本当なのか
かなり疑わしいです。

糖尿病による腎透析がどんどん増えていると言われています。
透析問題ではある著名人が大胆発言をしかなり問題になりました。
でもそのくらい莫大な医療費はかかりますし、年々増大しています。
本当に贅沢な物を食べている患者さんが悪いのでしょうか?
糖尿病治療が腎透析を引き起こしている可能性はないのでしょうか?
人のせいにして、本当は自分が悪かったという最悪な一番恥ずかしいパターンなのかもしれません。

医者が間違った常識にとらわれ続け、患者をさらに病人にしている可能性があると思います。
ましてや腎臓という大事な臓器を破壊し、取り返しのつかないことをしているのかもしれないのです。

「医療」という表向きには善意の行為によって引き起こされているからたちが悪いです。

今の糖尿病治療は本当に正しいのか、患者さんもそうですが医療者も考え直さなければならないと思います。
でも正直医療者は期待できません。自分が学んできたことが正しい、自分がやっていることが正しいという傲慢で頭の硬い人が多いですから。

医療というものは、患者さんの体や日々の生活、果ては命にも関わることです。
間違った治療が取り返しのつかないことになるかもしれないのです。
たとえガイドラインどおりにやっていたとしても、そもそもそのガイドラインが間違っているかもしれないのです。
医療者としてはガイドラインどおりにやっていれば、何か問題あったとしても罪に問われることはありません。
だから何も考えずガイドラインどおりにやっていれば楽です。
でもガイドラインが真実の治療ではないかもしれないし、本当に患者さんの為になっているのか日々考えていかなければなりません。
そういう意味でも、医療者は謙虚でなければならないと思います。
と、こんなブログに書いても医療者には伝わりませんが…。

ガイドラインから外れた治療というのは結構リスクがあります。
HbA1cを9%でも放置して(決して放置ではないんですが…)、万が一腎機能が急激に悪化して透析になったとしたら、訴えられても仕方がありません。
今気づきました。
自分がやっていることは結構リスキーだってこと。
自分で得意げにブログ書いていて、急にびびってしまいました。
患者さんとの信頼関係がないとできませんね。