オンライン診療についての違和感

今回のコロナ騒動をきっかけに、オンライン診療への動きが出てきました。
画期的なのは、初診からでもオンライン診療を認めることになったことです。
しかし一応臨時的な措置となっていますし、実際は処方日数などいろいろな制約もあります。
ニュースを見ていると「初診からOK」ということだけがひとり歩きしてしまっている感があります。

ちなみに、自分は初診のオンライン診療には否定的です。
自費診療とかではいいかもしれませんが、何か困った病気に対する診察で、オンラインでは無理がありすぎます。

例えば発熱の場合。
どこかの炎症を疑いますが、採血なんてできません。

アメリカではオンライン診療はかなりすすんでいます。
しかしちゃんとした土壌、システムがあってのことです。
オンライン診療で医師が採血が必要と判断した場合、患者さんは近くの薬局などに行って採血を受けます。
そこには「採血師」という、採血専門の職業の人がいるそうなのです。
そして、データを医師に送る。
こんなサポート体制のないまま、新型コロナを理由に(新型コロナ騒動のどさくさに紛れて)、日本では強引に初診からOKということになってしまいました。

そしてオンライン診療に無理があると思えるのは、例えば腹痛があるとき。
医師は、お腹を触診して、お腹の硬さ、押したときの感じなどをみて緊急性などを判断します。
当然オンライン診療ではできません。

それよりなにより、医師は患者さんの雰囲気や、歩く姿などをみています。
患者さんの空気というか、オーラというか、そういうものも感じています。
そして四肢の冷えなども確認します。
自分は必ず患者さんの手を触るようにしています。

患者さんは「冷える」と感じていても実際は温かかったりすることもたびたびあります。
その「ずれ」も大事なのです。

オンラインで、患者さんの雰囲気であるとかオーラを感じれられるためには
超能力が必要になってしまいますね。
エスパーじゃないとオンライン診療の名医にはなれません。

つまり今の日本のオンライン初診で役に立つのは、ただの軽い風邪くらいに対してくらいではないでしょうか?
というか、そもそも軽い風邪くらいだったら自分で治した方が良さそうですが。
他の疾患では結局検査が必要とか、実際に診察が必要となって、二度手間になるだけです。
無駄な医療費がかかってしまうだけです。

もちろん、何度かその患者さんをみている、よく把握しているのであれば、オンラインでの診療もありかと思います。
ただずっとオンライン診療を続けるというのはどうかと思いますが。
些細な変化に気づけなくなりますから。
「いつもとなんとなく違う」という感覚も大切です。

何年も前からオンライン診療については議論されてきました。
そしてクリニックには、以前からとある医療系ベンチャー企業から、しつこいくらいにクリニックへFAXやメールが届いていました。
オンライン診療用のシステム導入のすすめです。
その医療系ベンチャー企業とは、某有名女性ニュースキャスターの旦那さんが共同代表を務める会社です。
あまりにもしつこい宣伝、強引な宣伝から、当初からうさんくささを感じていました。
案の定、いろいろトラブルはあるようです。

オンライン診療のしっかりした制度・体制も整っていないのに、なぜにこんなにも強引な宣伝をするのか不思議でした。

この医療系ベンチャー企業の代表のお父さんは、元大蔵官僚で国会議員だった人らしいのです。
つまり政官財の人脈も豊富ってことです。

医師会としては、オンライン診療には消極的な立場だと思っているのですが、
たぶん、うまく政治家などを利用し、そこからの圧力によって今回初診からOKという形になったのではないでしょうか?
いわゆるロビー活動というものです。
あるいは規制改革推進会議が「一度も診察したことのない患者への電話等での初診を認めよ」とせまったそうですが、この会議に参加しているメンバーにはひょっとしたらその医療系ベンチャー企業とつながりがある人がいるかもしれませんね。

国が行っている、○○委員会だとか、有識者会議だとか、諮問会議だとか、そこに参加している人が自分の会社に都合の良い法律、制度を提案し、それが実現してしまうのが今の日本ですから。
有名なところでは、人材派遣会社のパ○ナの会長ですね。
人材派遣会社の経営者が政府の会議で雇用に関する政策を左右する。
明らかな利益相反です。

で、いろいろ調べていたら、少し前になりますが平成29年3月に行われた「第10回 投資等ワーキング・グループ」にその医療系ベンチャー企業の代表医師が参加して発言していました。
議題は「IT時代の遠隔診療」などです。
そこで、ベンチャー企業の代表医師はこんな発言をしていました。

「…今300以上の医療機関が我々のシステムを御導入いただいていまして、特にビジネスという観点から成り立っている遠隔診療というと、日本の事例はほぼ全て我々のシステムを使っているというところで…」

医療の分野で堂々と「ビジネス」という言葉を使って欲しくないですね。
根底にこういう考えをしているから違和感を感じたのかもしれません。

で、今回のオンライン診療に関する資料を調べていたのですが、
規制改革推進会議や医療・介護ワーキング・グループなどでオンライン診療に関する話し合い(役人、官僚、有識者が出席)が行われているのですが、そこの出席者を眺めていたら、「森下竜一」という名前に引っかかりました。
なんか聞いた名前だなぁと思っていたら、ついこのあいだ自分がブログに書いていました。

やっぱりビタミンD と愚痴いっぱい

そう、バイオベンチャー企業のアンジェスの創業者で大阪大学の人です。
新型コロナに対するワクチン開発で一躍有名になったアベ友です。

なんだ、結局みんな仲間なんじゃん。という感じです。

で、もう一人規制改革推進会議や医療・介護ワーキング・グループに共通して出席している人がいるんですよね…。
医療・介護ワーキング・グループ座長でもある林いづみという弁護士の方ですが、議事録を見てみるとなぜだか強烈にオンライン診療を猛プッシュしているのです。
弁護士の先生が何でなんでしょうね…。

なんだか、仲間内でいろいろと決まっていってしまう世の中なんですね…。
自分の利益のため。自分の名声のため。
正義も何もないです。